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~注意書き~ 虐待描写が少ないです!純粋に虐待を愉しみたい人には向いてないかもしれません! オリ固有の名前が出てきます!名無しだと不便な場面が出てきたので便宜上付けただけですが! オリ設定らしきものが含まれます!オリだらけで泣きそうです! 以上のことをしっかりと踏まえたうえで、それでも読んでくれるという心の広い方は、以下に続く作品をお楽しみ下さい。 男と女がゆっくりと 広い広い平原を、二人の男女が一緒に歩いていました。 彼らは夫婦というわけでも、恋人であるわけでもありませんでしたが、しかしとても仲のよい友人でした。 二人は今日も仲良く、楽しい会話を始めます。 「ねぇ、ジョン?なんでそんなキモイ格好してるの?さっさと死んだほうが私のためね」 ジョンと呼ばれた白人の男は、彼女の言葉に意外そうな顔をしながら、自分の服を見つめなおします。 ワックスを使ってかっこよく整えたちょんまげに、ケンドー部員から貰った篭手と垂(たれ)を取り付け勇ましさをアピール。面と胴はもらえなかったようです。 そして体にはぴちぴちのスク水と、自分の太ももまで届くフリルつきの黒のハイ・ソックスを装着したその姿は、男の中でも自慢の服装でした。 「オゥ!コレのドコがオカシーのデスカ?ワタシのフレンドも『オタクとサムライの、超融合や~!』ってゼッサンしてましタ! ソレにヨーコたんの服装こそ、ベリーストレンジネー!この子もソ-言ってマース!」 男は背負っていた両肩にかけるタイプのバッグからかわいらしい女の子のお人形を取り出し,腕と指の関節を動かしてお人形さんの指を女性のほうに向けます。 「いや、ソレはあんたの友人が変なだけでしょ……。つーか、私の服装のどこがおかしいのよ」 ヨーコと呼ばれた黄色人の女は,男がしたように自分の服を眺め回します。 彼女が着ているものはGパンにTシャツにスニーカーという、男に比べれば一般的と呼べるものでしたが,その全てには星条旗が描かれています。 そして肩、ひじ、ひざには星型のサポーターをしており、頭と腰にも同じ星型がいっぱいついたベルトを巻いていました。 男は、彼女の腰にまいてある星型のついたベルトに、ぐりぐりと人形の指を押し付けます。 「コレに決まってマース!その服装もそうですが,あなた悪趣味すぎデース」 「このアメリカのすばらしさを体全体で表した,荘厳かつ大胆なファッションはあなたのような日本かぶれの変態ヤローなんかには到底わからないでしょうね! あんたはさっさと自分のお母さんのところに帰って木の根っこでも食ってろ!」 女は一気にそうまくし立てると,男の靴に向かってつばをペッ、と吐きました。 その唾は目標より少し情報を通過し,男のハイ・ソックスに当たって、唾特有のネチョリとした感覚が布越しに男の皮膚を刺激します。 男はさすがに怒ったのか、自分の顔を真っ赤にして女に突っ掛かりました。 「シット!女だからってあまく見るとオモッたらオゥ間違いデス!コレでもくらいなサーイ!」 男は、「カミカゼ!カミカゼ!」といいながら女の頬を人形の指でぷにぷにとつつき始めました。 女は最初のうちは鬱陶しそうに男の突きを払っているだけでしたが,男があまりにもしつこいので,女もしまいには反撃をするようになってしまいました。 「だーもう鬱陶しいのよこのだぼがぁ!撃ち殺してやるから覚悟しなさい!」 女は背負っていた星型のリュックから同じく星型の飾りのついた銃を取り出し、それを男に向けて引き金をひきました。 その瞬間、気の抜けた音とともに紐のついたコルクが飛び出し、男の額に当たります。どうやら、その銃はおもちゃのようです。 女は紐がたれている銃口を口元まで持っていき,ふっと息をかけて熱くもないのに冷ましました。 「ふん、銃社会なめないでよね……って、こら、やめなさい!あんた撃たれたでしょやられなさいよ!ちょ、やめ、つつくな!」 男は女の言葉を無視して、「タケヤリ!タケヤリ!」といいながら女の頬をつつき続けます。 男がこのように、空気を読まず女にちょっかいを出し続けるのは、彼らにとってはよく見る光景でした。 そして、いつもならこれから女が本気で怒り出し、ガチで喧嘩になって殴りあったあと意気投合して夕日に向かって走り出すのですが、今日は意外な介入者が現れました。 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 家族連れでしょうか。五匹の、人の顔を模した饅頭が喧嘩をしている二人に向かってそう叫びました。 饅頭たちは、赤いリボンを付けていたり、またはリボンのついた、大きな黒い三角帽を付けています。 その家族の親と思われる、それぞれにリボンと帽子をつけた大きな饅頭が一匹づつと、あとはリボンと帽子を付けた小さい饅頭がそれぞれ一匹と二匹いました。 いきなりの介入者に、彼らはひとまず喧嘩をやめてその饅頭に向き直ります。 「オォウ!ジャパニーズ・スロゥレイームアーンドスロゥマリーサ!」 「違うわよ。アメリカン・ゆっくりれいむとゆっくりまりさでしょう。で、何の用かしら?」 饅頭は、自分の名前の前にあるよくわからない接頭語に戸惑いながらも,しっかりと二人を見据えました。 そして人が好みそうな愛想のよい笑いを浮かべて,彼女達に話しかけます。 「よくわからないけどれいむはれいむだよ!わかったらかわいいれいむとまりさとこどもたちにおかしとじゅーすをちょうだいね!みんなのどがかわいておなかへったよ!」 「まりさにへんななまえつけないでほしいんだぜ!おかしななまえつけたばいしょーとしておいしいものをよこしてね!」 「ちょーだい!ちょーだい!」 「おかしくれるの!?さっさとちょうだいね!」 「のろまはきらいだぜ!」 そのかわいい?笑みとは裏腹に、言っている内容はポツダム宣言のようなきつい内容です。 普通はここで蹴り飛ばして人間の怖さを教えてあげるところですが,彼女達はそれを選択しませんでした。 それどころか、一緒になって笑いあいながら、リュックからゆっくりれいむに上げるための飲み物と食べ物を取り出し始める始末です。 「いいわよ。まずは飲み物がいいわね。はい、みんな。いっぱい飲んでね」 女は取り出した水筒をゆっくりれいむに差し出しましたが,同じくリュックから水筒を取り出した男が、それを押しのけて自分のものを差し出します。 「そんな似非アメリカンの飲み物より、こっちの方がとってもデェリシャスネー!こっちを飲むといいデース!」 「な、何いってるのよこの変態やろうが!あんたは黙ってそこで米磨いでりゃいいのよ!」 二人はゆっくりの前で、自分がゆっくりに飲み物をあげるんだと主張しあって再び喧嘩を始めます。 それをみたゆっくりたちは困った表情を作りながら、喧嘩をやめるように二人に呼びかけます。 「ゆっくりやめてね!れいむのためにあらそわないでね!れいむはふたりのものがほしいよ!」 「そうだぜ!まりさがいくらかわいいからってけんかはよくないぜ!さっさとちょうだいだぜ!」 「ちょーだい!ちょーだい!」 「けんかするならまりさにおいしいものくれてからにしてほしいんだぜ!」 「のろまはきらいだってさっきもいったでしょ?ばかなの?」 いっせいに口々から不満をたれ始めるゆっくりたち。 言っていることは、喧嘩してないで両方さっさとよこせということなのですが。 しかし彼らはゆっくりの言葉に従って、おとなしく喧嘩をやめました。 「……そうね、みんなのいうとおりだわ。喧嘩は後にしましょう。そしてみんなにどっちがおいしいか味比べをしてもらおうじゃない」 「ナイスアイディア!そうと決まればゼンはイソゲネー!」 彼らはカップに水筒に入っている液体を入れて饅頭に差し出します。 みんながそのカップを覗き込んだところ、両方ともおどろおどろしい真っ黒な液体がたっぷりと入っています。 ゆっくりたちは驚いて二人にその飲み物を改めましたが,二人とも「「おいしいから,飲んでみて」」というばかりで取り合いません。 試しに彼女らに自分の水筒の中身を飲ませましたが、二人ともとてもおいしそうにそれを飲むので、 親のゆっくりれいむとゆっくりまりさは色はともかく中身は大丈夫だと判断しました。 そして二人の男女がこわばった作り笑いで見守る中、ゆっくりれいむによる味比べが始まります。 まず、男の飲み物からです。 毒見役のつもりか、ゆっくりれいむは一人でゆっくりとカップに口をつけ、そして一気に中身を自分の口の中に放り込みました。 二人とも、その様子をただじっと見つめます。 「しあわぜぼっ!?」 ゆっくりれいむをその液体を飲み込んだとたん、急に咳き込み始めました。 そのせいで口に含んだ液体の一部は吐き出されたようですが,大部分はもう体に吸収されて戻ってきませんでした。 ゆっくりれいむの様子に男が慌てて,女は呆れながらゆっくりれいむに駆け寄ります。 「なにごれぇぇぇぇ!!がらいよぉぉぉぉぉ!!」 「おがぁざん、どうじだの!?」 「じっかりしてぇぇぇぇ!!」 「オォウ!どうしたのですカー!?しっかりしてくだサーイ!」 周りのゆっくりたちもみんなだゆっくりれいむの元に駆け寄ります。 男はゆっくりれいむの後頭部をさすってやりますが,一向によくなりません。 ただただゆっくりれいむは「がらいよぉぉぉぉ!!いだいよぉぉぉぉ!!」と悲鳴を上げるだけです。 女は途方に暮れる男を、呆れを含んだ嘲笑で見下します。 「まったく、何を飲ませればこんなに苦しめることが出来るのかしら。ねぇ、ジョン?これはなんという名前の毒かしら?」 「……毒じゃないデス。ジャパニーズ・ショーユデース」 男はようやく少し落ち着いてきたゆっくりれいむをみながら、そう力なくつぶやきました。 「はぁ!?あんたあんな塩分の塊のようなやつあげたの!?つーかあんなの飲んでたら血圧がやばいことになるわよ!」 「ノー!ショーユはれっきとしたジャパニーズの伝統的な健康食品デース!私にショーユを紹介してくれたフレンドはなんにでもあれをかけて食べてマース! 私も毎朝飲んでマース!ショーユ健康法デース!」 女はその男の言葉に完全に呆れたようで、もう顔から嘲笑は完全に消え失せています。 ただかわいそうな目で、男を見るだけです。 「……ま、とりあえず私の番ね。客に毒薬を飲ます馬鹿はどいてなさい」 男は一度きつく女の方を睨みつけましたが、結局何も反論できずがっくりとうなだれます。 女は男と入れ替わるようにゆっくりれいむの前に立ち、今度は自分の水筒から入れたカップを差し出します。 しかしゆっくりれいむはさっきの男の飲み物にこりたのか、なかなか飲もうとしません 「ああ、ごめんね。あの馬鹿が変なの飲ませたせいで怖がってるのね。でも大丈夫。私のはあんなのと違って辛くなんてないから」 ゆっくりれいむはまだ警戒していたようでしたが、やはり口の中の塩辛さゆえに水を欲していたのでしょう。 恐る恐る下をカップの中につけ、それが塩辛くないとわかるとそのまま一気に飲み干しました。 「し、しあわせー!」 女はそのゆっくりれいむの様子ににっこりと微笑みながら、男に見せ付けるようにゆっくりれいむをさすります。 男は悔しそうに唇をかんでいましたが、何も言うことができませんでした。 「れいむ、おいしかった?」 「わからないけどからくなくてすっきりー!しあわせすっきりー!」 「ああ、かわいそうに。どっかの馬鹿が醤油なんてもの飲ませるから舌がおかしくなってるのね。 口の中まだ塩辛いでしょう?いっぱいあるからいくらでも飲んでちょうだいね」 女はゆっくりれいむの口の中に次々と水筒の中の液体を流し込んでいきます。 それを見た周りのゆっくりたちも、今度こそ安全だと思ったのか、女に近寄ってその液体を次々と飲ませてもらいます。 ゆっくりたちは口の中に飲み物を入れられるたび、「すっきりー!」だの、「しあわせー!」などといっていましたが、不思議とその瞳はひどく濁っていました。 男はその異変に気付き、女の手を掴んで行為をやめさせます。 「ウェイト!少し様子が変デース」 女は至福の時間を邪魔されて不機嫌そうにしていましたが、ゆっくりの様子を見て表情が一変します。 ゆっくりは確かに笑っていましたが、目は異常なまでに見開かれ、緩んだ口からはだらしなくよだれを垂れ流し続けていました。 「お、おねえさん、なんかへんだよぉぉぉ!おめめがぱっちりしすぎてとじないのぉぉぉぉぉ! す、すすすすすすすすっきりぃぃぃぃぃ!!!」 「え、ちょっとどうしたのれいむ。もしかして飲みすぎておなかいたいの?」 れいむは答えず、ひたすら意味不明の言葉を叫ぶのみです。 周りのゆっくりたちも,それに呼応するかのようにおかしな行動をとり始めます。 「すすすっきりぃーー!ゆ゛、ゆ゛っくりしていってべべべべべべべべべべ」 「しあわせぼーーーーー!!!」 「あばばばばばばばばば」 「ちょ、ちょっと、みんなどうしたの!?大丈夫!?」 女が何が起こったのかわからず困惑する中,ついにゆっくりたちは泡を吹いて白目をむき、動かなくなってしまいました。 ゆっくりたちの口からぶくぶくと細かい泡が作られては割れ、異臭を周囲に撒き散らします。 「オォゥマイッガァァァァーッ!!ヨーコたんはいったい何を飲ませたんデスか!?」 「ア、アメリカンコーヒーよ。私流にちょっと改変したけど」 「ドコをドーユー風にしたら客が泡吹くコーヒーを作れるんデスかー!!」 男のその剣幕に、さっきまで余裕を保っていた女もたじたじです。 「な、なによう。ちょっとカフェインの含有量増やしただけよ。そんなに騒ぐことじゃないでしょう?」 「イッタイ、含有量をどのくらいにしたんデスか!?殺人コーヒーを作るノに!」 自分の作ったものを殺人コーヒーと言われ女は不満そうでしたが、目の前の惨状を否定することも出来ず、しぶしぶ答えます。 「99%」 女はさも当然のごとく答えますが、男はその言葉に固まってしまいました。 いや、男でなくてもそれを聞いたら固まっていたことでしょう。なんてったって99%、9割9分カフェインという恐ろしいコーヒーなのですから。 ちなみに、女の言っていたアメリカンコーヒーとは、紅茶の色に似るように生豆を浅く煎ってたてたコーヒーのことを指します。 紅茶が手に入れられなかったアメリカ人が、紅茶の代用品としてコーヒーを使ったというのは有名ですね。 よって、女の作ったようなカフェイン含有量99%という狂気のコーヒーはアメリカンとは言いません。コーヒーとも言いません。単なるカフェインです。 「……ヨーコたんは悪趣味だと自分でも言い続けていましたが,ここまでとは思いませんでしタ」 「これのどこが悪趣味なのよ!これは、カカオ99%チョコレートを参考に私が長い年月をかけて作り上げた究極の……」 「どぼでぼいいがら、さっさとでいぶとみんだをだすげべべべっべべ」 再び喧嘩を始めようとする二人を,泡を吹いているゆっくりれいむが必死になって止めます。 ゆっくりたちは馬鹿な人間に当たってしまったことを内心後悔していましたが、今の自分を助けられるのも目の前の人間だけです。必死の懇願を続けます。 二人はゆっくりの必死な様子にすぐに争いをやめ、その饅頭を助けるために動き始めます。 「このことは後にしましょう。まずはみんなを助けないと。近くに大きな湖があったわよね?そこに連れて行ってきれいな水を飲ませましょう。 認めたくないけど、私たちの飲み物じゃあゆっくりを苦しめるだけのようだわ」 「……そうデスね。レイクは、ウェル、ここからホクトウへ少しいったところにありマス」 すばやく女がゆっくりたちを抱え、男が地図を持ち先導します。 彼らはゆっくりを助けることに目的を切り替えると,今までのことが嘘のようにてきぱきと連携して動き始めました。 やはり、二人は相性がよいのです。よく喧嘩するのだって、もともと仲がよいからでしょう。 役割が逆な気がしないこともないですが、昨今は男女平等参画社会です。気にしてはいけません。 二人はゆっくりたちを介抱しながら十数分歩いたところ、きちんと目的地の湖まで辿り着くことができました。 「オォゥ、地図によるとここのはずデース。急いで水を飲ませまショウ!」 「そうね。もう瞳孔が開きかけてるわ。……ほら、口を開いて?ゆっくり飲んでね」 水を近付けても飲まなかったので、女がゆっくりたちの口を開いて固定し,男がそこに湖から汲んできた水を入れていきます。 ゆっくりたちはもはや抵抗する気力もないのでしょう。なすがままに水を飲み続けました。 そして、みんなに5杯くらいの水を与えたところでしょうか。 ゆっくりたちが急に飛び跳ね、そのままごろごろと地面を転がり始めました。 「ぎぃぃぃぃぃぃ!!がらいぃぃぃぃぃぃ!!」 「またなのぉぉぉぉぉぉ!?」 「もうがらいのいやぁぁぁあぁっぁ!!」 「どぼじでごんなごどずるどぉぉぉぉぉ!!」 「びぃぃぃぃぃぃ!!」 苦悶の表情をして泣き叫ぶゆっくりたちを見て、二人は戸惑いました。 なんできれいな水を与えたはずなのに、まるで醤油を与えた時のような反応をするのだろう。 男は、何かに気付いたようで、自分の持っているカップについた水を指でとって少しなめました。 「シッツ!何てことダ!」 「どうしたの?なにかわかった?」 男は自分の持っているカップを女に渡し、彼女にもなめるように言いました。 女は訝しがりながらも、男の言うように指につけてそれをなめとります。 「し、塩辛いわ!まさか……海水!?」 「ノー!これは、ジャパニーズ・シカイデース!」 女は驚愕の表情を浮かべます。男から地図を奪ってみてみると、そこには確かに『死海』と書いてありました。 どうやら、ゆっくりたちにとっては不運なことに、女も男もこの文字を見落としてしまっていたようです。 「なんてこと……!アメリカの奥地にあるという伝説の湖がこんなところにもあるなんて……!」 「そうデース!シカイの癖に,私たちのシカイから逃れていたのデース!」 男のギャグには、誰も反応しませんでした。 ちなみに、死海とは海水よりも塩分濃度が十倍も濃く、そのため生き物がまったく住むことが出来ない死の湖のことです。 所在地はアラビア半島北西地、大まかに言うと東アフリカに存在します。当然ながら日本にもアメリカにもありません。 そんな説明をしている間にも、ゆっくりたちは口の中のあまりの塩辛さに暴れまわります。 「からからからふとちしばぁぁぁぁぁぁ!!」 「だいじょーだいじょーぶるぅぅぅぅ!!」 「ゆっくりさっさとあるくようなはやさでゆ゛べべべべべべべ」 「オォウマイッガーッ!どうしまショー!?」 ついには意味不明な言語を垂れ流すようになってしまったゆっくりたちに、男は頭を抱えてしまいます。 しかし、女は平静を保っていました。何かゆっくりれいむを助ける方法があるのかもしれません。 「落ち着いて、ジョン。私に策があるわ」 「リアリィー!?それはマジですかヨーコたん!」 女は男が食いついてきたのを見て満足そうにしながら,自信ありげに自分の策について語り始めます。 そんな女の自信の結晶があのカフェイン99%コーヒーだったりするのですが、この際それは置いておきましょう。 「いい?今ゆっくりが苦しんでいるのは何故か……もちろん、塩分の取りすぎよね」 「そうデスね。人間でもあまりに塩分をとり過ぎたら死んでしまいマス。あんな小さかったらなおさらでショウ」 毎朝醤油がぶ飲みしている男がいますが、それは恐らく特殊体質なのでしょう。 普通の人間が塩分をとりすぎると血圧がやばいことになり、浸透圧の関係で細胞がパーンとなるのでよい子でなくとも決してまねしてはいけません。 「そう。ましてやあの子の中身はあんこ……つまり、砂糖の塊になっているわけ。 そんな中に塩を入れたらどうなると思う?」 「ムムム……じらしていないで早く教えてくだサーイ」 「ふふふ、焦らないの。ヒントは,酸性とアルカリ性よ」 「しおあるかりとゆ゛べべべべべ」 「ぷるさーまるうんたるまーる」 「まどからてがでてこっちこないでぇぇぇえ!!」 そんな悠長な会話を続けている間にも、後ろではゆっくりれいむが奇怪な叫び声を上げながら暴れまわっています。 しかし二人は無反応。熱中すると互いにのめりこんでしまうタイプなのでしょう。 「酸とアルカリ……?オォウ、ァイゴットイッツ!わかりましタ!中和デスね!」 女は大きくうなずいて,正解の意図を表します。 「そう。砂糖を入れすぎたコーヒーに塩を入れて中和するように、ゆっくりも自身のあんこの砂糖が大量に入ってきた塩で中和してしまったの。 まるで酸とアルカリを混ぜた時のようにね。 そしてゆっくりは今砂糖にも塩にも属さない、かなり中性に近い特性を持っているのでしょう。だから、あんなことになってしまったの」 決して砂糖に塩を混ぜたからといって中和なんか起きるわけないのですが、それを突っ込めるものはここにはいません。 砂糖入れすぎたからといってコーヒーに塩を入れるのも、おそらく世界中で彼女くらいでしょう。 しかし、男は合点がいったという様に納得してしまいます。 男も女の問いに中和だとか答えていたので、恐らく彼も本気で塩と砂糖で中和が起こると考えているのかもしれません。 「それで、どうしたらいいのデスか?私たち,砂糖はそんなにもっていないデスよ?」 二人のリュックの中には砂糖を含むものがほとんど入っていませんでした。 入っていたのは非常食とキャンプ道具、そして大量の水筒だけです。もちろん中身はすべて黒い液体です。 「ジョン、逆に考えるのよ。砂糖はほとんどないじゃなくて、塩なら大量にあるって考えるの」 「確かにそうデスが……ま、まさかヨーコたん!」 「そう。そのまさかよ。塩分を大量に与えて、ゆっくりを砂糖属性から塩属性に切り替えるの。方法はこれしかないでしょうね。 今のままだったら、いずれ自己を見失って確実に死んでしまうわ」 なぜそんな結論を持ってきたのかはわからないうえ証拠も皆無ですが、女はやたらと自信満々でした。 その女の見つけた謎の突破口に、男も大はしゃぎです。 「グッーーー!さすがヨーコたんデース!ジャパニーズ・ドクサラの考え方デスね!」 「アメリカ流で言うなら子羊を盗んでしばり首になるよりは親羊を盗んでそうなったほうがましだ、かしら。とりあえずその通りよ」 二人の言っていることとは、毒を食らわば皿まで、のことですね。 英語で書くとどうなるのか気になる人は、ググって見るとよいでしょう。英語版毒皿を直訳するとヨーコの言っている意味となります。 「じゃあ、ゆっくりを助けるために作業に取り掛かるわよ。暴れるといけないからゆっくりを押さえて口を広げてちょうだい」 「オッケィデース。でも全部は無理デスよ?」 「それは仕方ないわ。水をあげる時に1,2匹抑えててちょうだい」 それからは、ゆっくりたちにとっては地獄の時間となりました。 「がらいよぉぉぉぉ!いだいよぉぉぉぉぉ!」 「我慢してね。あなた達のためなの」 嫌がっているのに無理矢理死海の水を飲まされたり、 「ひぎぃぃぃぃぃ!めが、めがしみい゛ぃぃぃぃぃ!」 「暴れないでくだサーイ!危ないデース!」 口に入れるはずの塩水が目に入ってしまったり、 「ゆぎがいぁぁいぃぁぃぃぃぃ!!」 「おがーざん!ごっじごないでね!やべでべばっ」 あまりの塩の痛みに暴れまわる親ゆっくりが自分の子どもを潰してしまったり。 そして二時間ほど経ったでしょうか。ようやく二人の作業はようやく終了しました。 五匹いたゆっくりはもう、親の二匹を残すのみです。 「ああ、三匹も死なせてしまったわ……。なんてことなの」 「……私達は精一杯やりマシた。二匹生きていただけでも,よくやったというべきデス。さぁ、彼女らの冥福を祈りまショウ」 「ジョン……。そうね、もう死んでしまったものは取り返しがつかないものね」 誰のせいで死んだのかは棚に上げたまま,男は手を合わせ、女は十字を切ります。 その間、彼らの後ろで動くものがありました。そう、あのゆっくりたちです。 女の言っていた治療が功を奏したのか、先ほどよりは多少回復しているように見えます。 「ゆ!いまだよ、れいむ!さっさとにげないところされちゃうよ!」 「で、でももううごけないよ……」 「いまにげないとゆっくりできなくなるよ!がんばって、れいむ!」 「むむむ、わかったよ!れいむがんばるよ!」 そして二人はこそっとそこから立ち去っていきましたが、黙祷をささげていた二人には気付きませんでした。 ようやく二人が目を開けて助けたゆっくりを探しましたが,ゆっくりたちはすでに遠くへ離れてしまっていたので見つけることは出来ませんでした。 「どうしよう、ジョン!あの二匹が見当たらないの!」 「こっちにもいませんでしタ……。たぶん、私たちに礼を言うのが恥ずかしくテ、ひっそりと去っていってしまったのでショウ」 「そう、なのかしら……。彼女たち、元気でやっていけるといいのだけれど……」 落ち込む女に、男は元気付けようとわざと明るく話しかけます。 「大丈夫サ!なんてったって、死の淵から這い上がってきた、ホトケさまのご加護を受けたゆっくりだからネ!」 女も自分を励まそうとしている男の意図に気付いたのでしょう。無理やり不敵な笑みを作って、男に返します。 「ふふっ、それを言うならキリスト様の、ね」 そして二人は互いに肩を寄せ合い、ゆっくりたちの無事を祈りつつ、一緒に笑いあいました。 終わりよければすべてよし。たぶん彼らの中では今回のことは美談として記憶されるのでしょう。ポジティブなのはいいことですね。 ――場面は移って。 そんな謎の加護がかかっているというゆっくりたちはというと,無事に自分達の集落まで辿り着くことができました。 二匹はぼろぼろになりながらも、なんとか生き延びることが出来たのです。 「ゆ!?だいじょうぶ!?みんなしんぱいしてたんだよ!」 二匹に気付いた集落のゆっくりたちが、彼らを心配そうに見ています。 二匹は、みんなに自分達が今までされたことを多少誇張を加えながら話しました。 人間に毒を騙されて飲まされたこと、その後に拷問があったこと、いつの間にか自分の子ども達がつぶされてしまっていたこと…… その内容は、集落に改めて人間への敵愾心と、警戒心を持たせることになりました。 どうせ明日には忘れているんでしょうが。 そして話が終わった後、集落のゆっくりたちは解散することになりました。 二匹は心配してくれたみんなに向かって、感謝の言葉を言います。 「「みんな、しんぱいしてくれてありがとう!ゆっくり――――ってね!」」 とたんに、動きが止まる集落のゆっくりたち。 そしていきなりみんなでその二匹のゆっくりを取り囲みます。 その目には、ぎらぎらと殺気のようなものが見て取れました。 「ど、どうしたの?こわいかおしないでね!」 その様子に二匹のゆっくりは怯え、二匹で寄り添うように体をあわせて震えます。 しかし周りのゆっくり達のさっきは収まりません。他のゆっくりより一回り大きな、集落のリーダー格と思われるゆっくりがずずいと前に出ます。 「さっきいったことを、もういっかいいってね!ゆっくり……なんていったの!?」 二匹のゆっくりは戸惑うように顔を合わせました。しかし、そんなことでみんなが怖い顔しなくなるなら安いもの。 ゆっくりたちは一緒に、感謝の言葉をみんなに言います。 「「ゆっくり――――ってね!」」 「こえがちっちゃいよ!もっとおおきなこえでいってね!」 どうやらまだ許してはもらえないようです。いまだ自分に浴びせかけられる殺気は減るどころか心なしか増えている気がします。 その殺気から逃れたい一心で、二匹はあらん限りの声で,こう叫びました。 「「ゆっくり塩くってね!!!って、え?」」 二匹は自分の出した声に戸惑います。何故こんな言葉を喋っているのか?二匹にはまったくわかりませんでした。 これはすべて塩分過多のせいだったりするのですが,他のゆっくりたちがそんなことをわかるはずもなく。 「ゆゆ!やっぱりこいつらにせものだよ!ゆっくりしんでね!」 「れいむにせものじゃないよ!みんなゆっくり塩くってね!……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!なんでいえないのぉぉぉぉ!!」 「ゆっくりしていってね!もいえないばかなゆっくりはさっさとしんでね!」 「ぶべっ!みんなやべでね!ゆっくりお塩くっておじづいてね!」 もう完全に二匹は塩属性のゆっくりとなっていました。意外にも、女の推測は正しかったようです。 集落のゆっくりたちはその二匹のゆっくりを異分子だと判断し、集団で襲い始めます。 そうなれば二匹はかなうはずもなく。数の暴力に押されて瞬く間に中のあんこ(塩味)をひねり出されてしまいます。 「ぺっ!なにこれ、しょっぱいよ!やっぱりこいつらはにせものだね!」 「ちがうよぉぉぉぉ!でいぶにせものじゃないよぉぉぉぉ!ながみだべないでぇぇぇぇ!」 「ほんとだ!しょっぱくてくえたもんじゃないよ!しょっぱいゆっくりはさっさとしね!」 ゆっくりは必死に説得しますが、塩の体ではそれも聞き届かず。 結局、みんなのリンチにあって死んでしまいました。 二匹は死ぬ間際、自分達がこんな目にあうきっかけとなった人間たちを恨みに恨みました。 ですが、そのころ二人はそんなことなど露知らず、一緒に自分の黒い液体を飲んで優雅なティータイムを送っていました。 自分達が助けたゆっくりのことで会話に花を咲かせながら。 おしまい ――――ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあとがきーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―――― まーた変なのかいちまいましたね。しかも長い 短編作るつもりだったのになぁ… ~おわび~ 以前ゆっくりハンターの生活とやらを書いたものですが,ゆっくりハンターってほかの人が使ってたんですね…… ゆっくりハンターの人、申し訳ありません。 自分は、ゆっくりハンターの人とは別人です。誤解を招くようなタイトルにしたことを深くお詫び申し上げます。 区別を付けるために、自分のことは味覚障害の人とでも呼んでください。 何故か自分の作るものには舌がイカレているやつが多いので。 これまでに書いた作品 ゆっくりハンターの生活1,2 ゆっくりハンターの昔話 男と女がゆっくりと
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注意書き ぬるめです。 笛吹き男とゆっくり あるところにとても不思議な笛を持った男がおりました。 その男が笛を吹けば病人はたちまち元気になり、罪人は改心し、動物はみな争うことをやめました。 今日も男は皆を幸せにするためいろんなところを旅します。 そんな男の前に一匹の傷ついたゆっくりが出てきました。男は聞きました 『いったいどうしたんだい?』 するとゆっくりは答えました。 「おにぃぃざぁぁぁん!!でいぶの、でいぶのおぢびぢゃんだぢが、まりざがぁぁぁぁ!! ねずみざんにだべられぢゃっだのぉぉぉぉぉぉぉ!!ゆぅぅぅぅぅ!!」 このれいむの話よると最近れいむの所属する群にネズミがやってくるようになったそうな。 最初はネズミも少数だったし群にはドスもいるので何とかなったが、やってくるネズミの数はだんだん増えていき、ついにはドスでも対処が仕切れないほどになった。 今群のゆっくりにできることは硬く入り口を固め、ぶるぶる震えながらネズミが去るのを待つことのみなのだとか。 そして昨夜、ついにこのれいむとその番まりさのおうちにネズミが侵入した。 おうちにはこの2匹と5匹の赤ゆっくりが居たそうだがれいむ、まりさの善戦むなしく赤ゆっくりは全滅。その後 なんとかまりさが囮になってれいむは逃げ出すことに成功したのだとか。 そして朝になっておうちに戻ってみるとそこには無残に食い殺されたまりさの皮と帽子。そして赤ゆっくりのものと思われるリボンと帽子が転がっていた。 れいむはドスに仇を討って欲しいと頼んだが小さく、強い歯を持ち、大群で襲ってくるネズミには力はあっても動きの遅いドスでは太刀打ちできない。 なので悲しいだろうが耐えて欲しいとの事だった。しかし納得できないれいむは群を飛び出した。 しかし飛び出したはいいが一匹でどうにでもなるものでもないことはいかなれいむにでも理解できたらしい。 そして途方にくれているところにこの男が現れたということだった。 ゆっくりがこういったことで滅ぶことは自然界では珍しくない。 力も弱く、足も遅い、しかし栄養価は高いゆっくりは雑食性の動物にとっては格好の獲物なのである。 「おにいさん、おねがいします!!れいむの、れいむのおちびちゃんたちとまりさのこどもたちのかたきをとってください!!」 男はれいむの言葉にいたく感動しました。子を思う親の心、それは男にとって何物にも変えがたい美しいものだったのです。 しかし、心の優しいこの男にネズミを殺すことはできません。なので殺すことはせず少し遠いところに移動してもらうことにしました。 その日の深夜、男は群のドスに許可を貰い群で一番大きな洞窟の中で息を潜めていました。 ネズミは大変用心深い生き物です。すこしでも群に変わった様子があってはいけないのです。 ガサガサッ・・・ガサガサッ・・・ なにかが動く音が聞こえます。 「ゆ!ねずみさんだよ!!」 どこかのゆっくりが叫びました。 男は岩の陰から様子を伺います。するといるわいるわ、何百匹というネズミがひしめき合ってまるで黒いじゅうたんのようです。 男は急いで笛を取り出すと精神を集中させ、曲を吹き始めました。 ♪~~♪~♪~~♪♪~♪~ なんともいえない美しい音色が森に響き渡ります。 その音につられネズミ達も行進を止め笛の音を聞き入っています。無論ゆっくりたちも。 そして男はそのまま歩き始めます。するとネズミ達も音に釣られて歩き始めました。 しかし、どういう仕組みなのかわかりませんがゆっくりたちはそのまま眠ってしまいました。 そしてだんだんとゆっくりたちの群からネズミ達を遠ざけていきついにはネズミ達を他の森につれていってしまいました。 朝になって男が森に戻りゆっくりたちにそのことを伝えるとゆっくりは男に深く感謝した。 「おにいさんありがとうね!!これでれいむもゆっくりできるよ!!ところでれいむはおなかがへってるよ!!おかしちょうだいね!!」 「おにいさんはすごいんだぜ!まりささまのこぶんにしてあげてもいいんだぜ!!」 「おにいさんはとってもとかいはね!!とかいはなありすがともだちになってあげても・・・い、いいわよ!!」 次々とお礼の言葉を述べるゆっくりたち。 そのなかには当然あのれいむいた。 「おにいさん、おにいさんのおかげでゆっくりすることができるよ・・・まりさもおちびちゃんたちもかえってこないけどれいむはまりさたちのぶんもゆっくりするよ・・・ゆぅぅぅぅ!!」 ドスも男に感謝の言葉を述べ、しばらくここにいてほしいと男を誘った。 しかし男は元々の目的地に行かねばならなかったので丁重にお断りした。 『ゆ、それはとてもざんねんだよ。またちかくにくることがあったらあそびにきてね!!ドスはおにいさんをかんげいするよ!!』 「「「「「ゆっくりまってるよ!!!」」」」」 男はとてもいい気分で群を去った。 森から少し行くと男は町に着いた。どうやらここが困りごとの有る町のようだ。 町に入るとさっそく町長が男を出迎えた。男は尋ねる。 『いったいなにがあったんですか?』 すると町長は歯切れ悪くこう答えました。 「ええ、笛吹きさん。実は困ったことがあるにはあったんですが最近ではめっきりその被害が収まりまして。それで~その~・・・」 なんと、笛吹きの男が町に来るまでに困りごとは解決していたのです! ああ、なんということでしょう!ここまで何日も歩いてきたのに!! しかし優しい男はここまでの苦労などなかったかのような笑顔を浮かべ 『町長さん、お気になさらないでください。僕はみなさんが幸せならそれでいいんです。それが幸せなんです。』 と言った。 町長もつられて笑顔になりこう言った。 「笛吹きさん、ありがとうございます。せっかくここまできていただいたのでささやかですが宴会を用意しております。 今日は楽しんでいってください。」 その日は村中で大賑わいだった。ご馳走とまではいえないまでも心の篭った料理、陽気な男、そして女達の踊り。 そしてなにより男の笛が場を盛り上げていった。その日は皆多いに飲み、そして食べた。 そして次の日。 男が用意された宿の寝床から起きるとすでに日は高く上っていた。どうやら昨日飲みすぎたようだ。 宿の窓から外を見ると町の人もなにやら忙しそうに動き回っている。 いや、何かおかしい。どうにも皆いつもの仕事風景と言うよりはなにか不測の事態が起きたような慌てっぷりである。 コレは何かあると男は素早く着替えた。 すると調度いいタイミングで町長がやってきた。 「笛吹きさん、大変です。すぐ町の入り口までお越しください。」 どうやらかなりの大事のようだ。一体なにがあったのでしょうか。 男が町の入り口に着くとそこにはたくさんのゆっくりがおりました。大きなドスもいます。 男は言います。 『君たち、ここは人間の町だよ。早く森にお帰りなさい。』 しかしゆっくりたちは 「ゆふん、そんなのしらないよ!ばかなにんげんさんはさっさとまりさたちにごはんをもってきてね!!」 と、聞く耳を持ちません。 そこに町長が男に声をかけます。 「笛吹きさん、こいつらは悪いゆっくりです。最近は見かけなくなったとおもったのにまたあらわれたのです。 力づくで食べ物を持っていこうとするんです。どうか退治して下さい。」 そう、町の人が笛吹き男に頼もうとしていたのはゆっくりの駆除だったのです。 しかし、優しい男は何とかゆっくりを説得しようと頑張ります。 『君たち、町の人が困っているじゃないか。今すぐに森へ戻りなさい。そうすれば私もこの人たちも酷いことはしないから。』 しかしそんな優しい男の言葉などゆっくりにはどこ吹く風。 「うるさいんだぜ!!それにひどいめにあうのはにんげんさんなんだぜ!!それがいやならはやくごはんをだすんだぜ!!」 どうやら酷いゲスの群だったようです。いくら説得しても言うことを聞いてくれません。 仕方ないので男はいつものように遠くに連れて行くために笛を構ました。 すると、 「ゆ、そのふえさんは・・・あのときのおにいさん?」 「「「「「ゆゆゆっ!!」」」」 なんとこのゆっくりたちは昨日男が助けたゆっくりたちだったのです。 そのなかにはあのれいむもおりました。 「おにいさん、ちょうどよかったよ!!このじゃまなにんげんさんたちをきのうのねずみさんみたいにどっかにやっちゃってね!!」 男はショックでした。 やさしい家族思いのれいむだと思っていたのにまさかこんなゲスだったとは。 しかし男は話しかけます。 『君たち、他の人を傷つけるというのはとても悲しいものなんだよ。君たちだってネズミに子供や仲間を殺されて悲しかっただろう?』 しかしれいむはこう言います 「ゆぎぃぃぃ!!れいむたちをあんなゆっくりできないねずみさんといっしょにしないでね!! それにかわいそうなれいむをたすけるのはとうぜんだよ!!そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」 ヤレヤレ、 男はため息をつき笛をかまえました。 「ゆ、おにいさんやっとれいむたちのいうことがわかったんだね!!さっさとそふえさんでにんげんさんをどっかにつれていってね!!」 れいむがなにかいっていますが男は気にもせず笛を吹き始めます。 ♪~~♪♪~♪~♪~~♪~ 男の自慢の笛は今日もすばらしい音色です。 「ゆふぅ~・・・おにいさんのふえさんはとってもゆっくりできるよぉぉぉ・・・」 ゆっくりも人間もとても満たされた表情です。 そして男はおもむろに森のほうへ歩き始めました。すると続いてゆっくりたちも男に続いて跳ね始めます。 それに気づいたれいむや他のゆっくりは慌て始めます。 「ゆ!おにいさんちがうよ!!れいむたちじゃなくてにんげんさんをどっかにつれていってね!!」 「やめるんだぜ!!さっさとまりささまたちをまちにもどすんだぜ!!」 「こんなのぜんぜんとかいはじゃないわ!!さっさともどしてね!!」 『ドスもおこるよ!!にんげんさん!!早くもどさないとドスパークをおみまいするよ!!』 それを聞いた男は急に曲を変えました。 ♪ーー!!♪♪!!♪ー!!♪♪♪!! それは今までのゆっくりとした曲ではなく、まるで臓腑がシェイクされるような錯覚をおぼえるほど大音量の激しい曲でした。 「ゆぎゃぁぁぁっぁぁっっ!!おっおにいざん!!や、やめっ!!ゆぶげぇぇぇぇ!!」 「ゆびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょ!!」 「はげじずぎるわぁっぁっぁぁぁ!!どがいはじゃなぃぃっぃいぃぃ!!」 『どすもぎもぢわるぃっぃぃぃぃぃい!!エレエレエレエレエレエレエレレレレレレ!!』 あまりの衝撃にゆっくり達は次々に中身を吐き出し始めます。 しかしその足はいっこうに止まることはありません。 ほとんど皮になったゆっくりもぺらぺらになりながらもおにいさんの後を着いて来ます。 そしてそのまましばらく歩くとふと男は立ち止まりました。 その頃にはまともに話せるようなゆっくりはほとんどいませんでした。 死んでこそいないもののほぼ虫の息です。 「なんでごごんなごどぉ・・・」 「ゆっぐりでぎないおにいざんはざっざどじねぇ・・・」 「どがいはじゃないぃ・・・ごのいながもの・・・」 『むれのみんながぁ・・・ドスがゆっぐりざぜるはずだっだのにぃ・・・』 おとこは言います。 『君たちは自分がゆっくりすることしか考えていない。昨日は家族思いのれいむのため貪欲なネズミから君たちを救った。 しかしそれは間違いだった。だからここに連れて来た。後は君たちの好きにするといい。』 そういって男は立ち去りました。 『ゆっぐ・・・みんなぁ・・・だいじょうぶぅ・・・』 なんとか動くことのできるドスが他のゆっくりに話しかけます。 「どずぅ・・・だずげでぇ・・・」 「どずぅ・・・あでぃずのとがいはなかみのげがぁ・・・」 どうやらしんではいないようだ。 『みんな、いまはゆっくりしていてね・・・そのうちみんながげんぎになっだらあのまちをおそっでみんなでおいしいものをたべようね・・・』 「そうだねどず・・・あのにんげんざんもごろじでね・・・」 「どずぱーぐでやぎづぐぢでやってほじいんだぜ・・・」 『そうだね・・・だからみんなはやぐげんぎになっで・・・ゆ"っ!?』 ここになってドスが自分達を見つめるなにかの視線に気づいた。 良くは見えないが何か黒くて小さいものがたくさんいるように見える。 一体なんなんだろう?ドスの疑問はすぐ解決することになる。 ガサガサッ・・・ガサガサッ・・・ 「「「「「「「ゆ!ゆぎゃあああああああああ!!ねずみざんだぁぁぁぁっぁぁぁ!!」」」」」」」 そう、ここは昨晩男がネズミを連れて来た場所なのである。 『みんなにげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』 ドスは叫びます。 しかしここまで傷つきながら跳ねてきたゆっくりにそんなことができるわけがありません。 あっというまにネズミたかられたゆっくりたちはただ食べつくされるのみだった。 「ゆぅぅっぅぅぅぅ!!やべでぇぇええええええ!!れいむはおいしくないぃぃっぃぃぃいい!!」 「やめるんだぜ!!まりささまはおいしくないからあっちのれいむをたべてね・・・ああああどうじでごっぢぐるのぉぉぉぉ!!」 「やめてね!!しんのとかいはならこんなことはしないのよ!!やめでっでいっで・・・ゆぎょぉぉぉぉぉぉぉお!!」 『れいむぅぅぅ!!まりざぁぁぁぁ!!あでぃずぅぅぅぅぅ!!やべろぉぉぉぉ!! はやぐあっぢいげぇぇぇぇ!!』 ドスがドスパークを大きく口を開けます。しかしそこに大量のネズミが押し寄せてしまいドスパークどころか口を閉じることすらできなくなってしまいました。 『ふっ、ふがふが!!ふがふがふっがふがふが!!(やっ、やめてね!!ドスはおこってるんだよ!!)』 そしてねずみたちはそのままドスの体を食い尽くしてしまいました。 『ふぎぅあぁぁぎぎぎぃぃぃぁぁぁあああゆぐぁっ!!ふぎっぎいやぁぁあぁぁ!!』 どうやら他の森の動物達も甘いにおいにつられて集まってきたようです。 これで一匹たりともゆっくりが逃げることは無いでしょう。 しばらくするとたくさんのゆっくりたちがいたそこには少しばかりの黒いシミと大きくてぼろぼろの帽子。 そして様々な色と形のちいさな飾りしかありませんでした。 男は町にもどりゆっくりを退治したことを伝えました。 町の人は大喜び。あらためて笛吹きの男に感謝の言葉を伝えたのでした。 そして後日男が再び出ることになると皆悲しみ沢山のお土産を持たせてくれたのでした。 男はかばんをはちきらせんがばかりにぎゅうぎゅうにして町の人に感謝しながら町をあとにしました。 男はとてもいい気分でした。 そして少し歩くと茂みから何かが飛び出してきました。 「ゆっくりしていってね!!!」 それはゆっくりれいむでした。 男はなにもいわず笛を構えます。そしてまた曲を吹きます。 ♪~~♪♪~♪~♪~~♪~ 「ゆぅ~なんだかゆっくりできるよぉ~・・・」 そのままれいむは群のほうまで跳ねてきてしまいました。そして男の笛につられ沢山のゆっくりが出てきます。 「ゆ~とってもゆっくりできるね~・・・」 「ゆ~ゆ~ゆゆ~♪」 そしてそのまま男は歩き始めます。 「ゆゆ!おにいさんまってね!!ゆっくりついていくよ!!」 「ゆ~おにいさんゆっくりうごいてね~♪」 そしてしばらく男が歩くとそこでぴたりと歩を止めました。 しかしゆっくりたちの足はとまりません。 「ゆ?あしがとまらないよ。」 「ゆ!ほんとだよ!!おにいさんふえをとめてね!!ゆっくりできないよ!!」 そしてその先にはそこそこ大きな池があります。 「ゆああああ!!とめてえええええええ!!れいむがとけちゃううううう!!」 「いけにおちたらゆっくりできないいいいいいい!!はやくとめてねぇぇぇぇ!!」 しかし男の笛は止まりません。そしてゆっくりたちは次々と池に落ちていきました。 「やだぁっぁぁぁぁ!!でいぶのがらだがぁぁぁぁぁ!!もっ・・・ゆっぐり・・・じだがっだよぉぉぉぉ!!」 「だ、だずげ!!おにいざんはやくそっちにあげ・・・ぶくぶくぶく。」 全てのゆっくりが池に落ちたのを見届けると男は演奏をやめました。 その時の笛吹き男はとてもいい笑顔をしていました。 あとがき 童話風の話を書きたかったんですがまだまだですね。 楽しんでくれた方がいれば嬉しいです。 ところでどうでもいい話なんですがドスの放つ光線ってドスパークなんですかね?それともドススパーク? SS見てると両方あるので少し気になったんですが・・・まあどうでもいいですね。 作者 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく
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ゆっくりの掃き溜め。 そこは奇形ゆっくりや人間に虐待され五体(?)満足でなくなったゆっくり達が唯一生きられる場所。 もともとはとあるゆっくりの群れが住んでいたのだが餌となるものを採り尽くしてしまったため群れが別の場所に移ったのだ。 ろくな食料も無く近場に水場も無い。 しかもここは外敵となる獣や大型の鳥が多く生息する。 そんな場所のため普通のゆっくりは近づこうともしない。 迫害されたゆっくり達が暮らしていける場所はそんな所しかなかったのだ。 幸い巣穴は元の持ち主であったゆっくりの群れたちが大量に掘っていたため多数存在した。 自らの巣穴を掘る力すらない彼女達が何とか生きて…そして数日、数十日のうちに死んでいく環境が存在していた。 「ゆぅ!ゆぅ!」 いつものように複数人分の餌を採りに行っていき集落へ帰って来たれいむ。 彼女はただ飾りを失っただけというこの集落ではもっともましな状態だった。 しかし彼女は食事すらできず苦しむ仲間の姿を我慢できなかったのだ。 気づけば動けぬ仲間達のために餌を採ってきていた。 だが自分に可能な限界の量の食料を採ってなお足りなかった。 朝、日が昇ってすぐに餌を採りに行き、日が暮れてようやく巣に帰り着く。 そんな生活が一月ほど続いていた。 しかしもともと餌は少なく外敵も多い場所。 ゆっくりには採れない大型の果実が多くありそれを餌とする獣が多くいる場所なのだ。 獣に襲われ逃げ帰ることもしばしばだった。 実際同じ志を持った仲間達はその多くが命を落とし、多くが罪悪感を持ちながらも諦め自分の分の餌だけを探していった。 (こんなところではおわれないよ…!しんでいったみんなのぶんまでがんばるよ!) そんな決意を持ってこのれいむは今日も狩を続けていた。 「む、こんなところにゆっくりが?」 そこに突然現れたのは全身を白い服に包んだ人間の青年だった。 「ゆ?おじいさんだあれ?」 れいむのいうとおり青年と言うにはその人間はあまりにも疲弊していた。 頬は痩せこけ髪は白くその表情からはあまりにも生気が無い。 まさしくその外見は老人のそれに近かった。 「私は旅の者だよ。ここは君達の集落かい?見たところ皆あまりゆっくりしていないようだが…」 「ゆぅ…みんなびょうきやけがをおってるの」 れいむはこの青年にこの集落の事情を話した。 どの群れも自分たちを受け入れてくれないこと。 ここがそんなゆっくり達が集まった場所であること。 採れる食料が限界に来ていること。 青年は黙ってそれを聞いていたがやがて口を開いた。 「よし、私に任せなさい。」 そして奇跡が始まった。 青年が足の焼けて動けないゆっくりに触れればそのゆっくりは元気に跳ね回り始めた。 生まれつき目が見えないゆっくりに触れればその目が開いた。 また、青年は時折集落を離れるとゆっくり達が取れない果物を大量に採ってきた。 まさに奇跡がそこにあった。 いつしかこの集落は「奇跡のゆっくりプレイス」と呼ばれゆっくり達に広まった。 そのうわさを聞きつけ多くの迫害されていたゆっくり達が集まった。 集落を襲おうとするゲスなゆっくり達もいたが人間でもとりわけ体の強い青年の力には到底及ばず撃退された。 迫害されていたゆっくり達の奇跡がそこにあった。 彼女たちの本物のゆっくりプレイスが確かにそこにあったのだ。 ある、暑い日。 いつものようにその集落のうわさを聞きつけたとあるゆっくりまりさが青年の前に寝かされていた。 「ゆ!まりさはあしがわるいんだよ!さっさとなおしてね!びょうにんはいたわるものだよ!」 「ふむふむ、そうか」 青年はゆっくりのふざけた態度にまったく不快感を示さずにその言葉を受け入れた。 目の前のゆっくりは確かに足が悪いが少しすりむいた程度のものだ。 正直青年が手を出すまでも無い。しかし、 「わかった、俺が直してやろう!」 「ゆ!ものわかりがいいじじはゆっくりしていいよ!ゆっくりしないでさっさとなおしてね!」 「まあそう焦るな、この足を直すゆっくり秘孔は確かここだ!」 ドス! 「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!いだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!!!!!!」 「ん?間違ったかな?」 「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っあ゛っあ゛ゆ゛びでば!!!!!!」 ボン!!! 盛大な音を立ててまりさは爆発した。 「ふむ、ここも違ったか。だがここはここで面白い。」 そうメモを取りながら青年はつぶやいたのだ。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!ゆ゛っぐりでぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!」 「や゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!い゛た゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「ゆ゛べがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぶびら゛!!!」 ゆっくり達の地獄がそこにあった。 青年が一度ゆっくりに触れればそのゆっくりは苦しみながら死んでいった。 あるものは一日中死ぬような痛みに泣き続け干からびた。 あるものは餡子を自分の意思とは関係なく死ぬまではき続けた。 あるものは交尾もしていないのににんっしんっし無数の茎を生やし絶命した。 あるものは全身から液状化した餡子を激痛と共に噴出し続け死んだ。 「おにいさん!これはどういうことなの!?」 青年が集落に来て最初に会ったれいむが彼に詰め寄った。 今の集落の異変は間違いなく彼によるものだ。 いつの間にかおじいさんからおにいさん呼び名を変えた彼に事情を話してもらわなくてはならない。 彼女の集落内の饅頭にしては賢い頭は誰から見ても明らかな犯人をゆっくりでは唯一突き止めていた。 「おお!お前か!探していたんだぞ!」 そんなれいむの疑問を一切無視し青年はれいむを抱きかかえた。 「飾りこそ無いが肉体はゆっくり一倍健康かつ強靭!お前は最高の木偶になる!」 「な、なにいってるのおにいさん!ゆっくりしないでせつめいしてね!」 そんなれいむの叫びを一切無視し彼女を診察台の上におくと、彼はいきなり指を突き入れた。 ドス! 「ゆぎっ゛!!!」 いきなりの激痛に短く声が漏れる。 れいむは抗議の声を上げようと再び口を開いた、しかし 「っ!!!!!!っ!!!!!」 口から声が出なかったのだ。 それを見た青年は満足げに言った。 「やはり今のゆっくり秘孔は声を上げられなくなる秘孔だったのか!感謝するぞ! お前のおかげで俺様の研究はまた一歩完成に近づいた!」 れいむには分からない。 なぜ自分がしゃべれないのか、この青年が自分に何をしたのか、なぜやさしいこの青年が集落をあんなことにしたのか。 ゆっくりの頭ではとても理解できない。 「さて、お前はもう用済みだな。この前発見した花火のように全身の餡子が爆発するゆっくり秘孔で葬ってやろう。 なあに、怖がることは無い。痛みを感じる暇すら無く一瞬で死ねる。」 ドス! 「!!!!!!」 診察室という名の研究室に爆音が響いた。 健康的な黒い髪を持つ青年の手の中でれいむはその派手にその生涯を閉じた。 かつて「奇跡のゆっくりプレイス」と呼ばれた集落はもうそこには無い。 そこにあるのはただ大量の、本当に大量のゆっくりの死骸のみ。 「ふう、時間はかかったが有意義な実験ができた。」 そう満足そうな顔でつぶやくのはこの集落に奇跡と地獄をもたらしたあの青年だ。 彼は元は加工所の研究者だった。 しかしゆっくり秘孔、ゆっくりの体に無数に存在する特殊な現象を引き起こす箇所の存在を発見し彼は変わった。 ゆっくり秘孔の実験と開発を繰り返すうちにそれに見入られ次々と、研究体以外の商品となるようなゆっくりをも殺した。 それが原因で彼は加工所をおわれたのだ。 職を失い研究環境を失った彼は浮浪者のように行く当ても無く森の中を彷徨った。 研究できないストレスで髪は白くなり栄養失中で頬がやせた。 そんな時発見したのがあのゆっくりの集落だった。 最初は治療の研究だけにしておこうと思っていた。 しかし彼のあふれる研究心は耐えられなかった、耐える気も無かった。 そうして生み出されたのが目の前の光景だ。 大量の餡子を前に、彼らに送る最後の言葉を彼はつぶやいた。 「俺の求めるゆっくり神拳はまだ遠い。」 彼は今日もどこかで自らが求める研究と拳法の完成めざしゆっくり達を付き続けている、かもしれない。 このSSに感想を付ける
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そのちびれいむは、ずっと妹が欲しかった。 親れいむが病弱であり、植物的出産でありながら自分一人しか茎から生えなかったため、仲のいい姉妹が欲しかったのだ。 他のゆっくり家族に可愛いちびゆっくりがいるのを、いつもうらやましそうに眺めていた。 だから、親れいむがもう一匹の赤ちゃんを茎で生やしたとき、とても嬉しかった。 これで自分にも妹ができる。たくさんかわいがって、たくさんゆっくりさせてあげたい。 そう思って、毎日赤ちゃんに声をかけ、ほっぺをすりすりしてあげていたのだ。 だが、その希望は呆気なく潰えてしまった。 早すぎた出産。まだ妹れいむが生れ落ちる準備もできていないのに、親の体調が急変し、未熟なまま妹れいむはこの世に産み落とされた。 地面を力強く蹴って元気に跳ねるための体は、表皮がしっかり作られていないので立つことはおろか動くことすらできず、ただぶよぶよと体を揺らすだけ。 輝きを湛え、姉としての自分の姿を映してくれる筈だった瞳は、どこにも焦点を合わせることなく虚空を彷徨っている。 おねえちゃん、と甘えた声を出してくれるのを期待していた口からは、「ゆっくりしていってね!」も聞くことが出来ず、 イビツで壊れた鳴き声しか聞こえてこない。 自分の思い描いていたそれとあまりにかけ離れた妹の姿を見ながら、れいむはゆっくりと理解した。 この子は、ゆっくりできない子なんだと。そして、元気に自分の後をついてくることはこの先ずっとできやしないのだと。 エサをれいむから口移しで食べさせられるまま、壊れたレコード盤のように変わらない鳴き声を繰り返すだけの妹に、 ちびれいむは今日もひっそりと涙するのである。 挿絵:【未熟児ゆっくり.jpg】 ちびゆっくりの人です。 そろそろ自分のHNも決めていい頃かなと思ったり(`・ω・´) とりあえず『クラムボン』でお願いしますー。 クラムボンの著作物一覧 ゆっくり一家と俺の冬 上下 ゆっくりゃたまねぎ責め あとちびゆっくりシリーズもろもろ このSSに感想を付ける
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※あんまゆっくりいじめてないです ニコニコ動画とかそう言うネタがたっぷりあります、嫌いな方は注意 ガチムチです 森の妖精 ゆっくり達の住む森の中、ここに一軒の家が建っている。 ここはゆっくり専用の病院、そこでは日夜男達が傷ついたゆっくりを癒している。 人は彼らに敬意を込めて『森の妖精』と呼ぶ。 「ごめんくださーい。」 「あぁん?お客さん?」 男が来客に応える、彼はここの主治医のビリー。ありとあらゆるゆっくりを治療するプロ中のプロだ。 他の病院のメンバーも彼には一目置いており、尊敬と親しみを込めて兄貴と呼んでいる。 「実はうちのまりさが妊娠してしまいまして、その・・・中絶して欲しいのです。」 「どういうことなの・・・?」 難産のゆっくりを助産したことはあったものの、自分の飼いゆっくりの子供を殺して欲しいなどと言う依頼ははじめてだ。 流石の兄貴も困惑していると、ポツポツと飼い主の男が話し始めた。 「というのも、うちのまりさの子供は望んで出来た訳ではないんです。昨日私の家に1匹の野良ありすが入ってきまして、 私が少し目を離した隙に襲われてしまったんですね。」 「最近のありすはだらしねぇなぁ・・・あぁもうだらしねぇ!!」 流石に温和な兄貴も、そんな赤さんも驚きな外道なありすの行ないに対しては怒りを覚えた。 「まりさ自身もお腹の子供を受け入れられないようでして、苦しむ姿を見かねて御相談に来たんです。 それとそのありすも捕まえたんですが、甘いとはわかってるんですが、どうしても潰すことが出来なくて。 そこで、出来ればありすの去勢もお願いできませんでしょうか?せめて被害の拡大だけでも抑えたいんです。」 「そうか・・・辛いのう、ヤス。準備するから午後にカモン!!」 「ありがとうございます!ただ私はヤスと言う名前ではないんですが・・・。」 「いやぁ、サーセン。」 そういって病院を後にする男の背を見送る。ヤりきれないな、そう思いながら兄貴は準備に取り掛かった。 「食後のデザートお持ちしましょうか?」 「NO、テリー。おいなりさんは3時のおやつだ。」 「わかりました、ただ今日のおやつはトンガリコーンですよ。」 「最強!!トンガリ☆コーン!!」 兄貴達が食後のそんなやりとりを行っていると、朝の男が訪ねてきた。 その手には2つのケージが下げられており、その中にはまりさとありすが詰められている。 「すいません。少し早いと思いましたが、居ても立ってもいられなくて・・・。」 「おーけーヤス。カモンレッツゴー!」 そう言って兄貴達は手術室へと向かった。 「それではまず、まりさの中絶を行います。よろしいですか?」 「はい、お願いします。」 「ゆっくりおねがいするよ・・・。」 助手の看護師が優しくたずねると、男とまりさは了承した。 ただ一人ありすが 「なんでぞんな”ごどずるのおおぉぉぉぉ!!?」 「あぁん? 何の問題ですか?」 「あ”りずとまりざのがわいいあかちゃんをごろずひどいじじいはじねえぇぇぇぇ!!」 「すぐそういう事言う・・・Fuck You !!」 泣きながら講義の声をあげるもの、周囲の人々に一蹴される。 そんなありすをケージごと机の上にのせて、その正面にまりさをおろした。 「おーけーまりさ。すぐ楽になるんだね、痛くないね。」 兄貴はまりさをリラックスさせる。何気ない一言だが、兄貴の海より深い優しさが伺われる。 そして背中に手を添えると 「超スピードゥ!!」 「ゆっっっ!!?」 キュッポーン!!! 目にも留まらぬ速さで赤ちゃんが発射された、そしてその先にはありすのケージ。 ビチャアァ!! 「ゆっがあああぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!??」 ありすの眼前には透明な壁に激突してグチャグチャに潰れた饅頭があった。 その形相は驚きと苦痛に染まり、大きく目を見開きその瞳にありすを映していた。 ゆ・っ・く・り・・・・・ 僅かに口がそう動くと、それはもう2度と動くことはなかった。 その赤ちゃんはあまりの速さに飾りが吹っ飛び、髪の色も同じ金髪のため、ありすかまりさかそれすら解らなかった。 目の前の悲劇にありすの思考は混乱していた。カワイイとありすを見つけて一緒にゆっくりしようとしただけなのに。 カワイイカワイイありすの赤ちゃん、一体なんでこんな事に?悲しみと怒りに駆られて意味を成さぬ叫びをあげ続ける。 一方のまりさはと言うと 「あかちゃん・・・ごめんね・・・」 「ダイジョブ?」 「うん、だいじょうぶだよ・・・先生ありがとうね・・・」 「目がビジネスマーン・・・歪みねぇな。」 一筋の涙を流したものの、赤ちゃんを殺した事実から目を背けずきちんと受け入れている。 人間でも中々できることではない、これには兄貴も思わず感嘆した。 「ではありすの去勢に移ります。」 助手の声に応じるよう兄貴は叫び狂うありすを掴むと、おもむろにケージから取り出した。 「ごろず!!ごろじでやる”う”ううぅぅぅ!!!」 「バー!!!ロー!!!」 暴れるありすをマウントで押さえ込んで一喝。 「お前のチンコとかどうでもいいわ!!」 パンパンパンパン・・・!!! 兄貴はありすの下腹部にスパンキングをはじめた。 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!や、やべぶ!!!」 「あぁん?エロいか!?卑猥か!?」 「ありずはえろでもひわいでもないいいぃぃぃ!!!」 抗議の声をあげるありすではあるが、リズミカルなスパンキングの刺激によりその体は昂ぶってゆく。 「あぁん?お客さん!!おっぱい見えるぜ!?変な乳して海老臭い!!」 「ゆあっ!!ありすは!!ありすはえびぐざぐないいぃぃぃ!!!」 抵抗するもその顔は真っ赤に染まり、目もトロンととろけている。 兄貴の超絶テクと言葉責めにより、ついにはありすのぺにぺにが頭をだした。その瞬間 「ふぐりっっ!!!」 「あっーーー!!!」 素早くそれを鷲づかみにし、力の限りもぎ取ったではないか!!! あまりの激痛に声も詰まるありす、その光景に周囲のものは『おお、激しい』と口にした。 だがこれで終わらない!兄貴はそのまま、まむまむへと手を突っ込む。 「ゲイバーーーーー!!!!!」 「うぎゅうぅぁああぁあぁ!!!??」 ゆっくりのそれに比べ、あまりにも大きい人間の拳を急につっこまれたありすは口の端から泡を吹きだす。 「最後の仕上げだ!! ぱっちゅりー、うっ!!!」 「!!!!!!!!!!!!」 そう叫んで兄貴がカスタードを引きずり出すと、ついにはありすは白目を剥いて気を失った。 「ありがとうございました。」 「じゃあの、ヤス。」 頭を下げる男に手を振り見送る兄貴。 こうして今日の仕事は終わった。だが兄貴の戦いは終わらない。 これからも救いを求めるゆっくりがいる限り、日夜兄貴達は医療と言うリングにあがる。 そんな彼らを人は『森の妖精』と呼ぶ。 「晩御飯なに?」 「くりぃむしちゅー池田。」 「いや別に好きじゃないよ!?」 シチューは飽きた、蟹が食べたい、むしろ蟹になりたい。 賑やかな声が、今日も森に響いていた。 終われ 作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人 このSSに感想を付ける
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厳しい冬が終わりを告げ、春めいた陽気の日々が続くようになると、山の竹林では一斉にたけのこが生え始める。 この竹林の周辺を住処とするゆっくり達にとっては最高のご馳走であり、冬を生き延びた自分たちへの山からのご褒美とも思えるものだ。 「ゆっゆっゆー ゆっくりしていってね!!!」 「ここに、おいしそうなたけのこさんがあるんだぜ! まりさがとってあげるんだぜ!」 「「「おとーしゃん、ゆっくちがんばっちぇね!!」」」 ここにも、6匹でなかよくたけのこ掘りに興じているゆっくりの家族がいた。 成体の「れいむ」に「まりさ」とれいむ2まりさ2の赤ゆっくり達。 たけのこは、土の中のまだ葉が開いていない物が美味とされるが、ゆっくり達はカサカサと音を鳴らし地を這うようにして動きまわり、器用にたけのこを見つけていく。 ゆっくり達の身体的な特徴は、真にたけのこを探し当てるのに適していた。 「ゆぅぅ〜 ゆぅうううーー・・・!!」 「おとーしゃん がんばっちぇね! おいしいたけのこしゃんたべさせてね!」 「あ! たけのこしゃんのおちりがみえてきたよ!あとちょっとやよ!」 「おかーしゃんすごいね! おとーしゃんすごいね!」 「ふたりちゃりとも ちぇからもちですごいね!」 かわいいわが子達の声援を受けて、両親の作業にも熱が入っていき、見事に土の中からたけのこを取り出すことに成功した。 「ゆぅぅぅうう・・・・・!!!」 「「すっぽりーー!!」」 間の抜けた、掛け声とともにたけのこを抱えたまま二匹は力を入れた方向に転がっていく。 たけのこと一緒にコロコロと2,3回転がった程度で回転は止まり、心配して跳ね寄る子供達に2匹はニッコリと微笑んだ。 「やったぜ! たけのこさんが掘れたぜ!」 「まりさとれいむにかかれば たけのこさんもいちころなんだよ!」 「ゆゆー おとーしゃんやったね!」 「これで たけのこしゃんむーしゃむーしゃできるね!」 「おかーしゃん だいじょうぶ? いちゃくなかった?」 「ゆぅぅ〜 とっちぇも ゆっくりできちょうな たけのこしゃんだねぇー!」 キャッキャッとはしゃぐゆっくりの家族達は完全に、たけのこに気をとられて浮かれていたため、周囲に対する警戒が薄くなっていた。 この時期、たけのこを狙ってイノシシなども竹林によく姿を現すし、ゆっくりにとって「ゆっくりできない」存在である人間なども竹林に入ってくる。 周囲への警戒はしすぎるということがないくらいに、厳にするべきであったのだが、この家族は取ったたけのこをその場で食べ初めてしまった。 「むーしゃ むーしゃ しししししぃーしあわせぇぇーー!!!」 「「「「ちあわしゃへーーーー!!」」」」 「うっめ! これうっめ!」 しかし、この無警戒には理由があった。 この家族がたけのこを取っている場所は、山の竹林の中でもかなり奥まっているし、やや急な斜面をびっしりと成長した竹が覆っている、竹の密集地帯だった。 そもそも、良いたけのこはある程度、竹林を伐採してたけのこの出てくる余地を作ってやって、初めて生えてくるものである。 効率を重視する人間達は、最初から目をつけた竹林に手を入れて、良質な物を手に入れようとする為、竹林の奥までわざわざ入ってくることは稀であることを、この家族は学習できていた。 野良にしては、優秀なゆっくりと言える部類であり、この家族の未来は真にゆっくりしていると言えた。 しかし、そう上手くいかないのが人生・・ もといゆん生である。 この家族の破滅の足音は、頭上50メートル付近で轟音を轟かせた。 バチバチチチッッ パァーーン ビチチチッ!! 「「ゆゆっ!!?」」 ゆっくりとしあわせーを交互に繰り返し、緩みきっていたゆっくり達の下膨れの頬が一気に緊張する。 彼女達からは目視できない、はるか頭上で鳴ったその音は親達ですら生まれてこの方耳にした事が無い音であり、赤ゆっくり達はたちまちパニックを起こしてしまっていた。 「「ゆぅーー このおちょなにぃー??!」」 「「ゆっぐじでぎにゃいよお”お”お”お”お”お”!!!」」 「おちびちゃん達! 落ち着いてね! お母さんにゆっくりついてきてね!」 「まりさが付いてるから安心するんだぜ! おかあさんにゆっくりついていくんだぜ!」 親れいむが子供達を先導し、親まりさはその場にしばらく留まって周囲を警戒した。 緊急時の役割分担すら完璧であり、自分達も初めて遭遇する事態であるにも拘らず、迅速に巣へ引き返し始めた。 先導する親れいむと親まりさにはさまれるようにして、4匹の子供達が安全に巣へ誘導された。 あたりには焦げ臭い匂いが立ち込めていたが、目に見える範囲での明確な出火は確認できず、事態を把握しきれない事に、親まりさは言いようの無い不安を覚えていた。 {何が起きたかはわからないけど、みんなのゆっくりはまりさが守ってみせる!} 心の中で、そう決意しながら家族とともに安全な巣へ引き返していくゆっくり達。 彼女達は知る由も無いことだが、餌場たる竹林の上空には高圧送電線が通っており、伸びきった竹が接触することによって、短絡(たんらく)が発生していたのだった。 そしてこの事象が、今まで人間の進入を拒んできていた竹林に人間を呼び込む原因となることを、勇敢な親まりさは知りようも無いのだった。 ==翌日== 「あーーーあぁ めんどくせぇなぁ」 そんな風に悪態をつきながら、長柄鎌とのこぎりを装備して5人の仲間と一緒に山の斜面をノロノロと登っていく一人青年の姿があった 年の頃は25、6といったところだろうか? ひたすらダルそうにしながら山の斜面を登っていく。 昨日の送電線の短絡事象は、変電所などの関連した設備にはたいした影響は及ぼさなかったが、 再発防止のため、彼らを含む複数のグループが送電線の巡回検査を行う為に山に入り込んでいた。 この青年、いつもはデスクワークなどを専門とし、現場作業にあっては下請け等をこき使う為、周囲からは白眼視されていたが、本人はそんなことは大して気にする様子も無くオフィスで砂糖のたっぷり入ったコーヒーをすすり続けており、入社以来使い続けた椅子はその重量を支えることが難しくなっていた。 シュボ スパスパ フゥーーーー あろうことか、火気厳禁の山林でタバコを吸うこの男は、他の仲間からどんどん距離を開けられていき、目的の竹林近くに到着した頃には、すでに竹の伐採が始まっていた。 「じゃあ、私達は鉄塔のところまでこのまま竹を切りながら向かいますんで、すいませんがこの辺りの竹をお願いしてもいいですかね?」 連れてきた下請け業者の責任者が、そのように申し出ると青年は何も言わずに黙ってタバコを咥えたまま、2,3度頷いた。 他の五人はそのまま、上空の送電線を確認しながら、送電鉄塔を目指して進んでいった。 青年は適当に、腰の辺りまで伸びているたけのこを鎌でつつきながら、2本目に火をつけた。 吸い切った一本目のタバコを、腰を屈めて地面にこすり付けていると、視界にふと、ところどころ齧られた跡のあるたけのこを見つけた。 大きな齧り口もあれば、小さなものもある。 イノシシかなにかとも思ったが、それにしては齧り方が控えめな様な気がした。 もっともこの青年は、イノシシの齧ったたけのこなど見たことが無いので、そんな気がしただけであり、そのうちにそんなたけのこには興味を失ってしまい、ささやかな自分の義務を遂行するために、ゆっくりと立ち上がった。 「もうちっと、””ゆっくりしても””いいかも知んないけどさ〜」などと呟きながら・・・・・・・・。 昨日の不意に起きた、破裂音を警戒して、ゆっくり達はいつもとは違い十分に警戒しながら、餌場に向かっていた。 彼女達の巣は、倒木などで出来た天然の屋根に守られており、夏は涼しく、冬は少しの工夫で寒風を凌ぐことが出来た。 入り口を塞ぐ葉っぱを取り除き、親まりさが周囲を警戒しながらでてくる。 その後に、子供達が続いて親れいむが葉っぱの上にさらにカモフラージュを施せば、出発の準備は完了である。 親達の緊張が伝わったのか、子供達も今日は口数が少ない。 しかし 昨日おなかいっぱいになり損ねた分、今日こそはいっぱいたけのこさんをむしゃむしゃしてやろうと、心は踊っていた。 親達はゆっくり餌場に移動しながら、昨日のことを話し合っていた。 「ねぇ まりさ 本当に大丈夫かしら? 昨日の事もあるし・・・ 今日は他の餌場でもいいんじゃないかな?」 「ゆぅ〜〜ん・・・ 」 「「おとーしゃん れいみゅはたけのこさんたべたいー」」 「「おかーしゃん まりしゃもたけのこしゃんむーしゃむーしゃしたいんだぜ!」」 「「ゆぅぅーーん・・」」 二匹の親ゆっくりは困ったような顔をしながらも、子供達の期待に満ち溢れた、キラキラした目に押される形で、昨日の竹林付近にまで歩みを進めていた。 そしてそこで、腰を屈めて、昨日彼女達が掘り出したたけのこを観察する人間に出くわしたのだった。 すぐさま、木の根元に身を隠した親まりさは、目配せで他のゆっくり達に静止をかけると、親れいむはすぐさま子供達の注意を舌で喚起し、近くの藪に誘導した。 臭い煙を吐きながら、たけのこをまじまじと見つめる姿を、藪の中からじっと見つめる子れいむと子まりさ達。 {しょれは おかーしゃんとおとーしゃんががんびゃってとってくれた とってもゆっくちできるたけのこしゃんなんだよ! ゆっくちかえしちぇね!!} そんな風に、ちいさいながらも憤りを覚えていた。 故に、その後に耳を打った本能を刺激する言葉に素直に、そして大きな声で反応してしまった。 「「「「ゆぅ? ゆっくちちちぇいっちぇね!!」」」」 「あぁ?」 その声に振り返る青年。 その目の前に、成体のゆっくりまりさが飛び出してきた。 「ゆっくりしていってね!!人間のおにいさん!」 この時のまりさは、半分以上死を覚悟している。 とにかく、人間の注意をそらすことのみに、考えを集中させていた、後ろにいる最愛の家族のために、ほんの少しでいい、注意を逸らす事が出来れば・・・! しかし、そんなまりさの想いを無視するかのように、青年は下衆な笑顔を浮かべて、まりさの背後の藪を長柄鎌で横なぎに払った。 間一髪で親れいむが子供達を体当たりで弾き飛ばしたおかげで、子供達は鎌の刃にかかる事は無かったが、れいむ自身は自慢の赤いリボンを巻き込みながら後頭部にザックリと鎌の刃の進入を許してしまっていた。 「ゆ”う”う”っう”−−!!」 「い”や”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ッッッ れ”い”ぶの”か”わ”い”い”お”り”ぼん”がぁぁぁ!!!」 「ははーッ ゆっくりじゃねえかよ こんな所で見つけるなんてツイてるぜ!」 青年はれいむが刺さったままの長柄鎌を手元に戻すと、ドンッと柄の部分の先端で地面を叩いた。 衝撃でれいむがゆっくりと鎌の刃からすべり落ちるように落下する。 と、地面に落ちる寸前で青年が軽くれいむに前蹴りを食らわせようとしたが、むなしく空を蹴った。 「れ” れ”い”む”ぅ”ぅ”ぅ” し”っ”か”り”し”て”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”」 大粒の涙をこぼしながら、まりさは一目散にれいむの元に跳ね寄り、傷口を舌で労わりはじめる。 子供達は体をぶるぶると震わしながら、呆然と眼前の光景を見やることしか出来なかった。 空振りの前蹴りでたたらを踏んだ青年は、悪態を付くと長柄鎌を少し持ち上げて、柄の先端を再び地面に向かって突き込んだ。 無防備にさらけ出されたれいむの後頭部に追撃の一撃を加えるつもりだ。 ジュブゥゥッ!! 最初の一撃で出来た傷口付近に叩きこまれた一撃は、空気を含んだようないやな音を立てて、れいむの後頭部にめり込んで行き、なおも力が加えられたため、完全に地面まで貫通してしまった。 青年はさらにひねりを加えながら、ゆっくりと柄に貫かれたれいむを持ち上げて、藪の近くで震える子供達の前に突き出した。 「で? これお父さん? お母さん?」 「や”べ”ろ”ぉ”ぉ”ぉ”ぉ”!!! れ”い”む”を”は”な”せ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”!!!!」 まりさは子供達の方に跳ねていき、庇う様に青年に向き直ると、れいむを柄からなんとか引き抜こうと、奮闘し始めた。 「ねえ どっちなの? 答えてよ?」 「「ゆ”ぅ”ぅ” お”か”ぁ”し”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”ん” や”め”ち”ぇ”ぇ”ぇ” 」」 「こ”ん”な”の” ゆ”っ”く”し”で”き”な”い”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”」 「に”ん”げ”ん”し”ゃ”ん” ひ”し”ょ”い”こ”ち”ょ”し”な”い”で”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”」 「ああ そう お母さんかー ありがとね 教えてくれて」 そう言いながら、青年は両の手で長柄鎌を持ち直して、ひどいことをしないでと懇願した赤れいむをそのまま突き刺した。 「し”ゅ”う”!?」 母親が刺さったままの鎌の柄に、ちょうど眉間の辺りを突き刺された赤れいむは、その勢いのまま腐葉土の地面に半ばめり込んだ。 青年が慎重に引き抜くと、親子れいむはちょうど向かい合う形で串刺しになっており、その姿をみた青年は「よかったね お母さんにキスしてもらえたよー」などとおどけた調子で言い放った。 「ゆ”ぅ”ぅ”ぅ” も”う”い”や”し”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”」 「た”し”ゅ”け”て”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ” お”と”ーし”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”ん”」 「お”か”ぁ”し”ゃ”ん”と”れ”い”む”を”た”し”ゅけ”て”あ”け”て”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”」 その場で絶望を表明するもの、父親に助けを請うもの、なおも他の家族を気遣うもの。 三者三様の反応であったが、共通しているのは、一匹もその場から動こうとしなかった事だ。 なまじ親が優秀すぎ、子供達が幼すぎたのが不運であったようで、三匹は恐怖のあまりその場から動けずにいたのだ。 このような時、とにかく分散して逃げてしまえば、この図体ばかり大きい愚鈍な人間からなら生きて逃げ延びる事が出来たかもしれないが、そのような判断が出来るほど成長してもおらず、危機的な状況に陥ったことが極端に少ない幸せだった赤ゆっくり達は、ただひたすらに恐怖を訴え、救いの手が頼れる父親から差し伸べられるのを待つしか出来なかった。 「お”ち”ひ”ち”ゃ”ん”た”ち”に”て”を”た”す”な”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!」 涙でぐちゃぐちゃになった顔面に光る二つの目には、未だ闘志が灯っていたまりさは、猛然と怒りに任せて青年の膝辺りにまで飛び上がって体当たりを敢行した。 通常のゆっくりには考えられないほどの大ジャンプであるが、地形の高低差を利用した、この優秀なまりさならではの、ひねりの効いた一撃だった。 山登りで足に疲労がたまっていた青年には、一定の効果が在り、無様にもヒザカックンの要領で、青年はバランスを崩してしまった。 「がッ! くそったれ! この腐れ饅頭がッ!!」 「おちびちゃんたち!今だぜ! ゆっくり逃げるんだぜ!!」 その一声で、我に返った赤ゆっくり達は、一斉に後ろの藪に飛び込み、そこから2方向に別れて別々に逃げようとした。 ーーーーーーが、藪と赤ゆっくり達の間に、母と姉妹の体を貫いた長柄鎌そのものが降って来た。 その衝撃に足踏みした赤ゆっくり達に、まず青年の右足が踏み込まれた。 踏み込まれた右足は、なおも地面を擦り上げ下敷きになった赤まりさをすり潰す。 次に振るわれたのはノコギリで、赤れいむの顔面をザックリと裂きながらめり込んで行き、彼女に与えた苦痛の量は、意識を失わせるのには十分なものだった。 最後に残った一匹を、青年は抱え上げると、木の枝に串刺しにし、親まりさに向き直った。 「クソッ 舐めた真似してくれたもんだな?」 青年はなおも右足を地面に擦りつけながら言うと、タバコに火を点けてこう言った。 「お前が俺に体当たりなんかしちゃうからだよ 全員殺しちゃう気なんかなかったんだぜ?」 まりさは答えない。 ただ目の前の光景が信じられなかった。 ついさっきまで生きていた最愛の家族の変わり果てた姿は、まりさから戦意を奪うには十分だった。 「ゆっ ゆ・・・」 その声は、青年のすぐ傍にある木から聞こえてきた。 弱弱しいながらも、生存を主張するその声の方向に向かって、まりさはフラフラと進みだす。 「おちびちゃん ゆっくり待っててね いま まりさが・・・・」 スコンッ! まりさの目の前で、枝に突き刺さった赤ゆっくりの体が両断された。 それから数十分後、伐採を終えたメンバーと合流した青年は何事も無かったように山を降りていった。 あのゆっくりの家族が暮らした竹林には、いま6体のゆっくりの死骸がある。 顔面から背面向けて大きな穴の開いた、物が2つ 顔面にノコギリの刃を受けた後、息があった為に、丁寧な輪切にされた物 木の枝に体を突き刺されたまま体を両断され、奇跡的に皮一枚で枝からぶら下がっている物 地面に黒いシミとしてしか名残を残さない物 そして、家族を守ろうとしてついに果たせずに終わり、その心が折れた物。 4本ほどのタバコの吸殻を体にめり込ませたまま、まりさはただただ焦点の合わない目で見続けた。 今は無い、幸せだった頃の家族の姿を。 このSSに感想を付ける
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「じゃおおおおおおん!!」 怪獣のような雄たけびが森に響く。 声の主はゆっくりめーりん。知能はあまり無いが、皮が分厚く耐久力は凄まじく高いゆっくりだ。 そして今のようなじゃおおおんという言葉(?)しか話せないため他のゆっくりから苛められる存在である。 「じゃおおおおおん!」 再び声を上げるめーりん。良く聞けばその声は悲しみの色を含んでいることがわかる。 そう、このめーりんも他のゆっくりに苛められている真っ最中なのだ。 彼女を取り囲むのはゆっくりれいむとまりさ、そしてありすだった。 れいむ達三匹はこの辺りでは誰も適うゆっくりがいないほど力の強いゆっくりだ。それ故いつも好き放題している。 めーりんの後ろには大きな木が道を塞いでおり、逃げ場はない。 特に珍しくもない光景である。 「ゆっ! やっぱりめーりんをいじめるのはたのしいね!」 「『じゃおおおおん』だって! いつきいてもへんななきごえだね!」 「いなかもののめーりんはとかいはのわたしたちにあそんでもらえるだけでもかんしゃすることね!」 それぞれ好き勝手なことを言い、めーりんに体当たりしたり石を投げたりしている。 皮の厚さのおかげで致命傷には程遠いものの、めーりんの体はボロボロだ。 その目には涙が浮かんでいる。 何故自分はいつも苛められるのだろう。何もしていないのに、ただゆっくりしているだけなのに。 「じゃ…じゃおおおん!」 「ゆっ! こいつないてるよ! きもちわるいね!」 「めーりんのくせになまいきだね!」 再び石をぶつけようとれいむ達は近くにあった手頃なそれを口に銜える。 めーりんは襲い来るであろう痛みへの恐怖から思わず目を閉じた。 そして。 「待ていッ!!」 耳をつんざくような自分たち以外の大きな声。突然聞こえたそれに四匹は動揺する。 だが辺りを見回してもこの周辺には自分たちしかいない。 「ゆっ!? だれなの!」 「かくれてないででてきなさい! このいなかもの!」 だがそんなれいむ達の言葉を無視して謎の声は続ける。 「愚かなるゆっくりどもよ…、森の声を聞け! 風の声を聞け! 弱き者を虐める貴様らの心を嘲笑っているぞ!」 そして大きな影がめーりんを守るように三匹の前に天から舞い降りた。正確には木の上から飛び降りてきた、のだが。 現われたのは妙な姿をした生き物だった。いや、形を見れば人間だとわかる。それは間違いない。 だがそれは顔に変な――少なくともゆっくり達はそう思った――顔の上半分を覆う仮面を被り、大きなマントをはおっているが背負っている籠のせいでマントは風になびかずにいる。 そしてその肩には小さなゆっくりぱちゅりーがちょこんと乗っていた。 呆然とする四匹を気にせず、突然現れたそれは声高々に名乗りを上げた。 「ゆっくり仮面! ただいま参上!」 「むきゅ。説明しよう、ゆっくり仮面は弱きを助け強きを挫く正義のヒーローである」 バーン、と決めポーズをとるゆっくり仮面(自称)と解説役のぱちゅりー。 相変わらずゆっくり四匹は呆気にとられたまま声も出せない。 そんなゆっくり達を無視してゆっくり仮面は続ける。 「哀れなるゆっくり共よ、貴様らのそのゆっくりできぬ腐った根性、叩き直してくれよう!」 今までの出来事を処理できず、フリーズしていた餡子脳がここで再び動き出す。 とりあえず目の前の変な格好をした人間が何物かはわからないが自分達が馬鹿にされたことはわかる。 そういうことには敏感に反応する餡子脳であった。 「ゆっ! よくわからないけど、れいむたちをばかにするおじさんはゆっくりしんでね!」 「そうだね! ゆっくりしね!」 「きっといなかもののばかだからありすたちのおそろしさをしらないのよ!」 次々と罵倒を浴びせる三匹。だがゆっくり仮面はどこ吹く風、腕組みをして余裕しゃくしゃくだ。 「ふはははは、やはり臆病な悪党だな。私が恐ろしくて言葉でしか攻撃できないのだろう!」 見え見えの挑発。だが単純な餡子脳には効果は抜群だった。 そんな態度にゆっくり達が怒り始める。 「ゆぅぅ! もうおこったよ! おじさんはゆっくりしね!」 と、まりさがゆっくり仮面に突撃する。 勢いよくゆっくり仮面の足元へと体当たりするまりさ。しかしそこは人間とゆっくり、圧倒的な力の差は崩せない。 自分の攻撃が全くダメージを与えられていないことにさらに憤るまりさ。 何度も何度も体当たりをするが、ゆっくり仮面は全然動じない。 どれぐらい繰り返しただろうか、まりさの顔に疲れが見え始めた。 「まりさ! がんばって! もうすぐやっつけれるよ!」 「とかいはのまりさのこうげきをうけてへいきなわけないわ! あいてはやせがまんしてるだけよ!」 本気でそう信じ切っている友達の声援を受け、まりさは自分の体から元気が溢れ出てくるのを感じた。 そうだ、攻撃が効いてないわけない。もう一息だ。 まりさはそう信じ、全速力でゆっくり仮面に向かって突進する。 「ふむ。いいか、悪のゆっくりよ。攻撃とはこういうものだ…ゆっくりキックは破壊力!」 と、ゆっくり仮面は勢いよく突っ込んできたまりさの顔面に蹴りをぶしかました。 「ゆ゛ぶう゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!??」 綺麗な放物線を描いて飛んでいくまりさ。しばらく飛び、その延長線上にあった木にぶつかって地面に落ちる。 仰向けに倒れたまりさの口からは餡子が漏れ出していた。 白目を剥いているが、体はピクピクと痙攣しているので気絶しているだけだろう。 「ま゛り゛ざあ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「どうしでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」 さっきまではにやにや笑っていた二匹が泣きながらまりさに駆け寄る。 二匹が何度も呼びかけるがまりさの意識が戻る気配はない。 「ゆ゛うぅぅ!! ありす! まりさをみててあげてね! れいむがかたきをとってくるよ!」 「きをつけてね! あいつ、いなかものだけどあなどれないわ!」 れいむは振り返り、ゆっくり仮面を睨みつける。絶対に許さない、と。 そしてれいむは駆ける。友のため、そして貶された自分のプライドのため、あの人間を倒すと心に決めて。 勢いよく走るれいむがある地点でジャンプした。 足は危険と判断したのだろう、上半身に攻撃するための全力での跳躍。 「ゆっくりしんでね!」 「今のを見てもまだ力の差が理解できぬか…。所詮は脳なしの腐れ饅頭だな」 再び馬鹿にされ、鬼のような顔で怒るれいむ。 だがそんな悪口を言えるのもここまでだ、自分の全力の体当たりでゆっくりしね!と彼女が思った瞬間。 「ゆっくりチョップはパンチ力!」 「ゆ゛べっ!」 垂直に手刀を放つゆっくり仮面。それは迫ってくるれいむの脳天に直撃した。 べちゃっ、という音と共に顔面から地面に叩きつけられるれいむ。 皮が破れ、少量の餡子が飛び出したが命に関わるほどではないようだ。 まりさと同じく気絶しているだけであろう。 「ああ゛…ああ゛あ゛゛あ…」 ありすは恐怖した。まさかあの二人がやられるなんて。 そんなありすにゆっくり仮面ははゆっくりと近づいていく。 ありすの前で立ち止まり、自称正義のヒーローは静かに問う。 「さて、どうする? 君も私と戦ってみるかね?」 そんな選択肢はありすには無かった。三人の中で一番弱い自分が適うはずはない。 ではどうするか。 逃げる? そんなこと出来る筈がない。 他のゆっくりならまだしも、れいむとまりさは幼い頃からずっと一緒に育ってきた親友だった。 そんな二人を見捨てて逃げるくらいなら死んだ方がマシだ。 ならば――。 「お゛じざん、ごめんなざいぃぃぃぃぃ。あり゛ずがわるがっだでずぅぅぅぅぅぅ!!」 ありすは泣いて謝った。 こうやって反省したふりをすれば許してくれるかも知れないと考えたから。 以前三匹が人間の畑を荒らした時も、泣いて謝ったら許してもらえたという経験があったからこその判断。 もっとも、その畑の主が虐待お兄さんではなく善良なおじさんだったからなのだが。 都会派の自分としては情けないが命には代えられない、とありすは思う。 「ふむ、なるほど。君は反省しているわけだね?」 「そうですぅぅぅぅぅ!! も゛うこれがらはめ゛ーりんをい゛じめたりじまぜんんんんんん!!」 「うん、それはいい心がけだね」 ゆっくり仮面の露出した口元が微笑む。それを見てありすは心の中でほくそ笑んだ。 ほら、やっぱり人間は馬鹿だ。簡単に騙される。 とりあえずこの田舎者がどこかに行ったられいむとまりさの手当てをしよう。 めーりん苛めだってやめるものか。今日の腹いせに今度は思いっきり三人で苛めてやる。 そんな事をありすが考えていると、急に頭を掴まれた。 ゆっくり仮面は右手でありすを持ち上げ、一気に力を加える。 「い゛い゛いだぁぁぁぁい゛!! どうじででぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 突然の痛みに戸惑うありす。この馬鹿な人間は許してくれたはずなのに。 さらにゆっくり仮面は掴む力を上げ、指がありすの皮に食い込んだ。 演技ではなく本気で顔を歪めるありす。そのとかいは(笑)の顔は涙や鼻水でぐしょぐしょになっている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁ!!! あ゛り゛ずのあ゛だま゛がぁぁぁぁぁぁ!! い゛だい゛ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「反省した? 馬鹿を言っちゃいけない。貴様らのようなゆっくりがこの程度で反省するわけがなかろう」 「あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ!! ぼんどうでずぅぅ!! だがらゆるじでぇぇぇぇぇぇ!!!」 ゆっくり仮面はそのまま左手で気絶しているまりさを掴んだ。 元の場所へと戻り、置いていた籠に二匹を詰め込む。 さらにその上からこれまた気絶しているれいむを押し込んだ。 「とかいはのありすはこんなところじゃゆっくりできないわ!」 もう元気を取り戻したのか、抗議してくるありすを無視してゆっくり仮面は未だ状況が理解できていないめーりんに近づいた。 ビクッ、とその体をめーりんは震わす。もしかしたら自分も酷いことをされるのかもしれない。 ゆっくり仮面はめーりんの前でしゃがみ、手を大きく振り上げ…めーりんの頭を優しく撫でた。それと同時に肩に乗っていたちびぱちゅりーが地面に飛び降り、めーりんを周りから観察し始める。 「じゃ…じゃおおおん?」 最初は怯えていためーりんだが、相手が自分に危害を加える気がないとわかると笑顔が浮かぶ。 そしてゆっくりと理解した。この人は自分を助けてくれたのだということを。 無邪気に笑うめーりんにつられてゆっくり仮面も微笑む。 それは先程のありすのときに見せた作り笑いなどではなく、心の底から湧き出た本物の優しい笑みだった。 「ぱちぇ、めーりん君の様子はどうだ?」 「問題ないわ、皮の表面が破れてるだけ。命に別状はないわ」 てきぱきと動くちびぱちゅりーの言葉にゆっくり仮面は安堵の息を吐く。 この解説役兼マスコットのちびぱちゅりーは知識が豊富でゆっくりに関する医術も少々心得ていた。 と言ってもゆっくりは食べ物なので医術もクソもこれといってないのだが。 「よし、ではこれを使おう」 と、ゆっくり仮面はポケットからあるものを取り出した。 「むきゅ。説明しよう、これは『ゆっくり傷薬』。その名の通り、傷ついたゆっくりを癒すゆっくり仮面七つ道具の一つである」 ちびぱちゅりーの解説に頷きながら、ゆっくり仮面は傷薬をめーりんの患部に塗っていく。 傷口がしみるのか最初は嫌がっていためーりんだが、次第にゆっくりし始めた。 この傷薬から発せられる匂いにはゆっくりを落ち着かせる効果もあるのだ。 「ちなみに加工場製の税込315円よ」 「余計な事は言わんでよろしい」 薬を塗り終え、ゆっくり仮面は立ち上がる。 「よし、ではそろそろ行くか」 ありすの喚き声が聞こえる籠を背負い、ちびぱちゅりーを肩に乗せる。 ちびぱちゅりーがちゃんと捕まっているのを確認したゆっくり仮面は再びしゃがみ、めーりんの頭を右手で優しく包んだ。 「めーりん君、これからも辛いことがあるかもしれない。だがそんな時は今日のことを思い出してほしい。君は一人じゃない、君にはこのゆっくり仮面がついている。 それに私だけではない、他の人もきっと助けてくれるだろう。だからいつでも笑っていてくれ。 なぜなら、正義とは常にポジティブなものなのだから!」 グッ!と左手の親指を立てるゆっくり仮面。その口元から覗く白い歯がキラーンと光った。 ゆっくりめーりんはまるで子供のような、きらきらと輝く純粋な瞳でそれを見ている。 「ではさらばだ! ふははははははは!」 鬱陶しいほど声高らかな笑い声を残してゆっくり仮面は去って行った。 「じゃおおおおおおおおん♪ じゃおおおおおおおおん♪」 遠くなっていく背中にめーりんは叫び続ける。 言葉の意味はわからなかったがその声には確かに喜びと感謝が強く含まれていた。 今日もか弱きゆっくりを助けたゆっくり仮面。次はどこへとゆくのだろうか。 明日は明日の風が吹く。弱きを助け強きを挫く正義のヒーロー、お呼びとあらば即参上! ありがとう!ぼくらのゆっくり仮面! つよいぞ!ぼくらのゆっくり仮面! 所変わって先ほどの森から少し離れたところにある何の変哲もない家。 静けさに包まれていたこの場所に主が戻ってきた。 「ただいまー」 「むきゅ、ただいま」 家に入ってきたのはゆっくり仮面とちびぱちゅりー。そう、ここが彼らの自宅だった。 ゆっくり仮面は背負っていた籠を床に置き、マントを脱ぐ。 「ふぅー、今日も楽しかったぜ」 そう言いながら顔に付けていた仮面を外すゆっくり仮面。 その下から現れたのは特にこれといった特徴のない爽やかな青年だった。 「むきゅ、お疲れ様。何だか今日は一段とテンション高かったわね」 ちびぱちゅりーが青年の肩から近くのテーブルに飛び移る。 彼女は普通のゆっくりとは違う、加工場生まれのゆっくりだった。 体は小さいが中の餡子はよく詰まっており、いわゆる知能強化型のゆっくりだ。だから台詞にも漢字が使えたりする。 一人暮らしが寂しかった青年が話し相手として加工場から購入したもので、今では二人は強い信頼で結ばれた相棒となっている。 「ふふっ、どうしてかは知らないけど気分が高まってね。木から飛び降りた時に脳内で何か分泌されたのかもしれない」 「別にいいけど、あまり無茶はしないでね」 和気あいあいと和む二人の耳に籠に詰められたゆっくりありすの声が聞こえた。 「ちょっと! さっさとだしなさいよね! とかいはのありすにこんなことしていいとおもってるの!?」 「ああ、忘れてた」 「お兄さん、こいつらも『お仕置き』するの?」 ちびぱちゅりーが聞く。 これまで捕えてきた悪のゆっくりは青年が『お仕置き』してその腐った性格を治しているのだ。 正義のヒーローとして悪を捕まえ、それを『お仕置き』によって更生させる。 それがお兄さんの趣味だった。ちびぱちゅりーも何だかんだで楽しんでいる。 「当然だ。ぱちぇも知っているように、俺は一方的な『弱い者いじめ』をする奴が大嫌いなんだ」 その言葉を聞いてちびぱちゅりーは溜息を吐いた。 が、それは別に不快感から来ているわけではなく、元気な子供に手を焼く母親のような印象を受ける。 「やっぱりあんたいい性格してるわ」 「おいおい、照れるじゃないか」 「むきゅー、褒めてないわよ」 ははははは、と二人の楽しげな笑い声が家の中に響く。 お兄さんとちびぱちゅりー、二人の妙な趣味はこれからも続く。続くったら続く。 おしまい このSSに感想を付ける
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「冷静な子たちのお部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋に 八意永琳は入っていく ここはゆっくりアリスたちの性欲の減退を試みる施設 野生のゆっくりアリスが飼いゆっくりをレイプする事件が多発する事を受けて 永琳は薬物散布による野良ゆっくりアリスへの性欲減退処置を提案。 それは妖怪からも、人里からも、承認を受け、これはそのための実験である。 妖怪や人間の中にはあんなもの皆殺しにしてしまえば良いと毒薬の散布を支持する者もいたが、 それぞれの代表者によってどうにか説得されたらしい。 それほどに嫌悪感を覚えるのか、永琳は少し期待をしてしまう。 「・・・」 「あら、不愉快?」 「そんな顔してました?」 明らかに嫌悪と分かる表情を鈴仙は指摘され、思わず顔を逸らす。 今まで見ていた方向には三匹のゆっくりアリスによってレイプされるゆっくりまりさの姿があった。 「倫理観なんてどうでもいいわ。ここに入ってくるゆっくりは全員何らかの形で死ぬのよ。あのゆっくりアリスたちが憎くても何かしてやろう何て考えない事ね」 「は、はい」 「じゃ、はじめましょうか」 永琳は三匹のゆっくりアリスからゆっくりまりさを取り上げる。 「ゆ?なにするの?アリスのまりさをかえしてね」 「まだすっきりしたいんだから、なにするの?」 「ゆー!!アリスのまりさかえしてよ!!」 ゆっくりまりさは助かったと思った。このままお姉さんに抱きかかえられ、 元いた場所かもっと良い場所にいけるのだと勝手に思っていた。 しかし、ゆっくりまりさは返してと騒ぎゆっくりアリスの目の前で床に叩きつけられ殺された。 「ゆ!!なにするの?!べつのまりさをよういしてね!!」 「そうよ。アリスはすっきりしたいんだから」 「とかいはのアリスはすっきりしたいのよ!!」 三匹のゆっくりアリス達はそれまで好きだ愛していると言っていたゆっくりまりさに関して何ら触れず、 自分達がすっきりするため、別のゆっくりを要求した。 「この子達、自分が殺されるとは思わないのね」 そう小さな声で、永琳は鈴仙に伝える。 「たぶん、都会派の自分は殺されないとか思ってるんでしょ」 鈴仙はとても不愉快そうに答えた 「あら、ごめんなさい。あなた達のゆっくりまりさ、つい手が滑って落としちゃったわ。代わりを用意するから少し待ってくれるかしら」 「とかいはのアリスをまたせないでよ!」 「アリスはできるおいんなだからストレスがたまるのよ!」 「はやくすっきりさせなさいよ!!」 師匠に対して、ゆっくりは本当に命知らずというか身の程知らずというか 鈴仙は今までの不愉快な思いが消え、今はゆっくりアリスに対する同情の気持ちに変わっている。 「お詫びと言っては何だけど、私の作った栄養剤を飲んでみない?お肌がぷるぷるになって、元気も出るし、よりすっきりできるようになるわ」 「ゆ?とかいはのアリスにぴったりね!!」 「ゆっくりしてないでだしてね!!」 「おねーさん、アリスはとかいはだからおねーさんのことゆるしてあげるね」 永琳は三匹にそれぞれ薬の入った砂糖水を与える。その隙に鈴仙がヘアバンドに甲乙丙と書かれたタグをつける。 それからしばらく二人は部屋の隅でお茶をしながら様子を観察していた。 ゆっくりアリスはせっかく三匹いるというのに三匹で遊んだりせず、用意してあげた巣に引きこもり木や土で何か作って過ごしていた。 「同種間での性行為はしないんですね」 「元々、コミュニケーション能力が低い種だから、一方的な押し付けしかできない。同種だとそれがぶつかり合うから」 「・・・なんだか、自分勝手ですね」 「あら、珍しい。あなたがゆっきりをそんな風に言うなんて。でも、勘違いしちゃいけないわ」 永琳はカフェオレを一口飲むと話を続ける。 「私達から見ればアレは一方的な感情の押し付けしかできない不具合のある種族だけれど、アレらは自分に何ら問題があるとは思ってないのよ」 「それが自分勝手なんですよ」 「常識を考えなさい。アレと私たちの常識は違うのよ。この実験はアレの常識を捻じ曲げる行為。自分勝手なのは私達の方よ」 「・・・」 「それでも私は倫理観なんてどうでもいいのよ」 その後、他のケージと違って静かでいいわねと永琳はつけたし、クッキーに手を伸ばした。 ~甲のゆっくりアリス~ 「あら・・・」 「師匠、この子には何を入れたんですか?」 「甲にはただの性欲減退剤よ・・・。濃度は若干高かったけれど」 ゆっくりアリスは自殺していた。巣にしていた小屋の壁にカスタードクリームがへばりついている事から、 何度も壁に体当たりしたのだろうという事が分かる。 「性欲減退剤って、どういう効果が現れるんですか?」 「今回のは性欲を強く否定するのよ。性欲が高まるとストレスを感じるようにしたものなんだけど」 そんな事を言いながら二人は監視カメラの映像を再生する。 『すっきりしたくなちゃった・・・ゆゆ!!』 「ああ、これよ。身体的な負荷ではなく、精神的な負荷にしたのがこの薬の良い所なんだけど」 『すっきりしたく・・・ううん、とかいはのアリスはすっきししないとストレスが、ゆぅ!!』 すっきりしたいと思う度にゆっくりアリスの体は痙攣する。 「効果がありすぎなんじゃないですか?」 「ゆっくりまりさで実験した時には同じ濃度で痙攣するなんて事はなかったわ」 『すっきりしたいのに、ゆぎぃ!!すっきりしたくない!!』 狂ったように小屋の中を転げまわるゆっくりアリス。 「性欲が強すぎるのかしら、それを押さえつけるために薬の効果が強く出てるのね。ふむ・・・」 『ずっぎりじだい!!ずっぎりじだぐない!!』 ゆっくりアリスが小屋の中を駆け回ると、永琳はぷっと思わず吹き出す。 「こんなに効果があるなら別の用途に使えそうね」 『ゆぎぃ、いやぁ!!なにごれ、ぎもぢわるい!!ずっぎりずっぎり!!』 そう言ってゆくりアリスは壁に何度も衝突する。 何度もカスタードクリームを吐き出し、しばらくすると動かなくなった。 「ああ、残念。一番シンプルで簡単だと思ったのに」 あまり残念そうな感じもなく永琳は監視カメラの映像を止める。 ~乙のゆっくりアリス~ 「あれ、巣にいませんよ」 「うーん、一匹ずつ観測員をつけた方が良かったわね」 永琳は今度は残念そうに言い、監視カメラの映像を再生する。 「この子には何を与えたんですか?」 「少しでもすっきりしたくなると、ある特定の記憶を繰り返し再生する薬」 「ど、どんな記憶ですか?」 「ゆっくりまりさが黒ずんで死ぬ所」 鈴仙は言葉を失う。 「さ、見るわよ」 再生機にゆっくりアリスの姿が映し出される。 『ゆー、すっきりしたい・・・ゆ?』 あたりをゆっくりアリスはキョロキョロ見渡す。 『まりさ?ゆ?・・・いないよね。まりさのことかんがえたらすっきりしたく、なちゃ・・・ゆ?』 「あら、あまり効果は無いのかしら?」 「だってほら、ゆっくりアリスって相手が死んでも関係ないって感じですから」 永琳は失敗かしらと呟くが、次第にゆっくりアリスに変化が出てくる。 『まりさ・・・しんじゃった?アリスのまりさが』 「ふむ、いつも発情と同時に性行為を行うから、もしかすると他者の死を見直すのはこれが初めてなのかもしれない」 「意外に繊細なんでしょうか」 「つまり、ゆっくりの死に対する悲しみがあるって事?」 『すっきりしたら・・・まりさが、まりさ!!』 ゆっくりアリスが泣き出す、自分の強姦でゆっくりまりさが死んでしまった事を思い出し。 『・・・ゆ!まりさごめんなざい』『・・・ゆ?!まりざもうゆるじで!!』『・・・ゆひぃ!!まりざ、おねがいもうゆるじでよ!!』 すっきりしたいと思う度に自分が殺したゆっくりまりさの事が思い浮かぶ。 「あー、これは結構・・・いいかも」 『ゆ!!まりさ、こないで。まりざ、ごないで!!』 そう言ってゆっくりアリスは巣を飛び出す。あとはずっと、誰もいなくなった巣が映っているだけだった。 その後でしばらく巣の周辺を探すと池にヘアバンドが浮いていた。そのヘアバンドには乙のタグがついていた。 ~丙のゆっくりアリス~ 「おーい、大丈夫?」 「ゆっくりしていってね」 「あ、師匠、この子はげん・・・あれ?」 ゆっくりアリスは笑顔だった。笑顔なのだが顔を真っ赤にし汗をダラダラかいていた。 「あの師匠、これは?」 「いくら、ゆっくりアリスでも高熱を出していれば強姦はできないと思って試しに作ってみたんだけど」 鈴仙がゆっくりアリスの頬に触れてみる。 「うわ、凄い熱さじゃないですか」 「やめで、おねえざん、ほっぺがいだいよ!!」 「あ、ごめんなさい・・・師匠、熱のせいですか?」 「それはオピオイド拮抗薬よ。痛覚を高めてあるの。これなら強姦もできないでしょ?」 鈴仙はゆっくりアリスに同情した。 「頬に何かが触れれば激痛が走るはずよ。ああ、勿論飛び跳ねる事も無理ね。這いずり回る事なら、できるかしら?」 そう言って、ゆっくりアリスの少し前辺りに飴玉を置く。 「おねーさん、アリスはびょうきなんだよ。こっちまでもってきてね」 「嫌よ。でも、この飴を食べたら楽になるわ。ほら、頑張って食べなさい」 ずりずりと這い蹲ってゆっくりアリスは進む。その度に身体中に激痛が走る。 「あの、師匠。何でこの子、こんなに痛がってるのに笑顔なんですか?」 「例えば、私が何かを食べて凄く苦しそうな顔をしたとするわ。あなた同じものを食べる気になる?」 「いいえ・・・」 「だから、笑顔のまま顔を硬直させてあるのよ。この技術が一番難しかったんだから」 永琳は楽しそうに飴玉をゆっくりアリスから遠ざける。 「どうじでぞんなごどずるの!!」 「叫ぶ事すら苦痛なはずよ。さ、もう少し頑張って」 「ゆぎぃ!!・・・ゆぎぃ!!」 唸り声と叫び声を挙げながらゆっくりアリスは進む。 目は真っ赤になり、涙を浮かべているが、飴玉を一心不乱に見つめている。 ようやく、辿り着き、舌を伸ばす。これで楽になれる。慌てて飴玉を口に運ぶ。 「よくできました」 おめでとー、そう言って永琳は拍手をする。 全身の痛みがなくなっていくのが分かった。熱も下がっていく、 ゆっくりアリスは楽になった。つまり死亡したのだ。 実験の結果を元に人や妖怪の間で話し合いが持たれ丙の薬が採用される事になった。 最後まで他のゆっくりに害がないのか聞いていた人間もどうにか納得してくれ、薬品の入った飴玉の散布が行われた。 3ヶ月もすると、ゆっくりアリスを見かける事はめっきり減り、 人間達が飴玉の散布をやめる頃にはゆっくりアリスは絶滅危惧種に指定されるほど数を減らしていた。 ある日、買い物の帰りに鈴仙はゆっくりアリスを見かける。 酷く衰弱してはいるが、顔立ちの良いゆっくりの中でも美形なゆっくろアリスだった。 そこへゆっくりまりさがやってきて、「アリス、かわいいね。まりさとすっきりしない?」と声をかけた。 ゆっくりアリスは酷く怯え、森の中に逃げ込む。 その表情はとても笑顔で、まるで私を捕まえてと逃げる女の子のようだった。 現にゆっくりまりさは「おいかけっこだね。ゆっくりつかまえるね!!」とゆっくりアリスを追いかけた。 鈴仙は二匹を追いかけてみる。茂みの中でゆっくりアリスはゆっくりまりさに捕まっていた。 頬ずりをされ、ゆっくりまりさはとても気持ち良さそうにしている。 ゆっくりアリスはと言うと涙を流し、やめてと訴えていた。 「ゆ?アリスもうこんなにほおをあつくして」「なくほどうれしいんだね」「アリスはつんでれだね」 勝手な事を言うゆっくりまりさを鈴仙は思いっきり蹴り上げた。 かつて実験室で見た。ゆっくりアリスへの嫌悪感と同じものが胸の中でこみ上げてきた。 ~あとがき~ ゆっくりアリスに腹が立ったんで、 できれば、しばらく殺し続けます。 by118 このSSに感想を付ける
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無垢なゆっくりの虐待注意。 Dear ○○ お久しぶりです。お返事遅くなってしまい申し訳ありません。 ○○さんはお変わりなく優雅に虐待を嗜んでいらっしゃいますでしょうか? 私は最近は仕事に追われて、なかなか満足するほど心行くまで虐待、 とはいかない日々を送っております。 (私個人の名誉の為に付け加えさせていただきますと、 返事が遅くなった理由も多忙により手紙に書くような虐待ネタを仕入れられなかったからで、 決して筆不精ゆえのものではなかったと釈明させていただきます) そんな充実とは言いがたい虐待ライフを過ごしていた私ですが、 先週末の虐待では中々のネタを仕入れることができましたので、報告しようかと思います。 あなたに虐待趣味に染められてから半年が過ぎようかという11月23日。 そろそろ私も虐待の基本としての殴る蹴る千切る燃やすの暴行から ステップアップしたいな、なんて思いながら虐待のネタを考えていると、 ふと、料理に使っている白ワインのボトルが目に付きました。 それで閃いたんです。今度の虐めは、毒にしようって。 あ、「酒が毒って子供じゃないんだから」なんて思いませんでしたか? アルコールを舐めてはいけませんよ。 エタノールを摂取した時に中間代謝物として生成されるアセトアルデヒドは、 最近話題になっているシックハウス症候群の原因物質で、発ガン性もある強い毒物なんです。 人間には脱水素酵素の働きでアセトアルデヒドを酢酸に分解する機能がありますが、 ゆっくりはどうでしょうか。考えるだけでもわくわくしてきませんか? なんて、教養豊かな○○さんには余計な説明だったでしょうか。 能書きを垂れるのはこの辺にして、実践の報告に移ろうと思います。 今回の虐待では、ターゲットはゆっくりれいむにしました。 ほら、何となくまりさ種ってれいむ種よりお酒に強そうな気がしません? まずは手始めに普通に飲ませてみます。 「お姉さん!これがゆっくりできるジュースなの?」 なんて、疑いもせず目を光らせて聞いてくるれいむを見ていると、早速ゾクゾクしてきます。 こんな純粋で無垢なれいむがこれから虐められるなんて、可哀想。 でも、ゆっくりは生きている事が罪ですからしかたありませんよね(笑)。 「そうだよ、これを飲むとすっごくゆっくりできるんだよ」 と私が言うと、 「飲ませて飲ませて!」 って愚かにもねだってきます。扱いやすいなあ。 「ほんとだ。このジュースすっごくゆっくりできるね!」 今回は子供でも飲めるようなかなり甘口のワインを使ってみました。 半分ジュースみたいなものですからゆっくりにも好評のようです。 ゆっくりが美味しい思いをするかと思うと多少腹も立ちますが、 死刑囚に与える最後の食事みたいな物だと思えば、まあ悪くないかなって。 れいむは瞬く間にボトル1本分を飲み終えてしまいました。 「お、お姉さん~、目がゆっくりま、まわるよお~」 かなり軽い酒とはいえ、ゆっくりの体重を考えればボトル1本は相当の量です。 器官が単純な事もあってか、すぐに酔いが回っていきました。 何を食べても餡子にしてしまう出鱈目な生命体ということもあり不安だったのですが、 どうやらゆっくりも呑めば酔うようです。 そうとわかれば、後はじっくり観察させてもらうだけです。 人間と同じなら、呑みすぎた後には地獄の苦しみが待っているはずですから。 30分もすると、早速れいむは苦しみ始めました。 「ゆぅ~、お姉さん~、気持ちが悪いよう~。助けて~」 ふらふらと千鳥足で歩きながら助けを求めるれいむ。ソソります。 せっかくですから酔いが更に回るように思いっきり転がしてみました。 「ゆ、ゆぅ~!?お゛ね゛えざん、ゆっぐりやべでね~」 酔いのせいで踏ん張る事もできずに向こう側の壁にぶつかるまで転がるれいむ。 「びどいよ、おね゛えざ……ゆ!?お゛え゛ぇぇえ゛~」 目も虚ろで視点も定まらないれいむ。ついには餡子を吐いてしまいました。 愉しくなって参りました。いいゆっくりは苦しんでいるゆっくりだけですからね。 しかし、吐かれてはせっかく飲ませたアルコールが無駄になりかねません。 「れいむ、これを飲めば気持ち悪くなくなるよ」 それを防ぐ為、もう1本用意しておいたワインをとりだし、れいむに差し出します。 「ゆぅ~、ゆ、ゆっくり飲ませてね~」 よしきた。ゆっくり飲ませますよ。 「ゆ!?れいむこのジュースはもう飲みたくないよ!?」 うるさい。黙れ下等生物♪ れいむの悲鳴を無視してワインを更に注ぎ込みます。 「ゆ゛、ゆゆ゛ぅう゛~~!!やべでね~~!!」 さすがに注ぎすぎたのか、皮はぱんぱんに膨れ上がり、中からはたぷたぷと音が聞こえます。 まあそのうち餡に馴染むでしょう。ゆっくりですし。 さらに待つこと10分。れいむは本格的に苦しみ始めます。 「ゆげえ゛えぇぇぇ!お゛え゛えぇぇ!」 ううん。いとをかし。と、いうには少し汚い光景でしょうか。 「お゛ね゛えざん、だずげで~、げいぶ、ごのばばじゃ、死……ゆげえ゛ぇぇえ」 わかるわかるよー。呑み過ぎたときって本当辛いですからね。 自らの吐瀉物で出来た餡溜まりの中を転げまわるれいむ。 絵面的にも露骨に悲惨で中々いいですね。あ、同封してある写真はこの時に撮ったものです。 「お゛があざぁぁん゛、ぐるじい゛よ~、だずげで~」 ついにはここには居ない母親にまで助けを請い始めました。 おいおい。もうとっくに独り立ちした成ゆっくりでしょうに、情けなくないのかしらん。 「う゛ぅぅぅ。いっぞ、だれ゛が、ごろじでえ゛ぇぇぇ、ゆげえ゛ぇぇえ」 あまつさえ死を求めるなんて。いつもアルコールランプで炙ったりしてもそう簡単には 殺してなんて言わないのに。でも何となくわかります。 酔いの苦しみって心ごと弱っていくような感覚がありますもんね。 「も゛う゛いやぁぁあぁ!ゆげっ、ごぷぅわぁっ!」 晴れやかな気持ちで眺めていると、れいむは一際大量の餡を吐き出しました。 いくらあれだけの量飲ませたとはいえ、 あんなに吐いたらそろそろ死んじゃうかもしれませんね。 というより、度重なる嘔吐で餡の逆流防止弁が壊れたのでしょうか。 単に酔って吐く量としては異常です。 実際、れいむの頬は落ち窪み、ワインを飲ませる前より体積が減っている気もします。 そう思ってみると、うめき声も、単に気持ち悪いというより、 痛みを苦しがるものが混じっているように感じますね。 では、そろそろ止めと行きましょうか。 私はえいっと、れいむを軽く蹴飛ばしました。 「ごぷっ、かはっ、げぼぉうぁあ゛ぁぁぁ」 酔いが回りきっている状態で餡子脳を揺さぶられたれいむは更に盛大に餡を吐き出します。 経験上そろそろ致死量と思われる量の餡子を吐き出してもまだ嘔吐が止まりません。 大量のアルコールが混じった餡を吐き出すことで顔色そのものはよくなってきていますが、 これだけ出餡してしまっては先は長くないでしょう。 「ゆ、ゆっくりしたかった……よ……ごぷっ」 あ、死にましたね。お疲れ様でした。 以上です。いかがでしたでしょうか? ゆっくり虐待に関してはベテランの○○さんには、今更って感じかもしれませんが、 私は初めての経験だったのでとても楽しむ事ができました。 いつもみたいにギャーギャー悲鳴を上げるのもいいですが、 今回みたいにグデングデンになって苦しむゆっくりも非常に趣があるものですね。 ちなみに、今回のゆっくりの死体も一口いただきましたが、 フルーティな風味の中にお酒の香りもして、中々に美味しかったですよ。 1粒で2度美味しいこの虐待、まだでしたら試してみてはいかがでしょうか? P.S. 今度仕事の関係で○○さんの住所の近くまで出張するのですが、 もしよかったら会えませんか? お宅の地下にあるという、ゆっくり虐待施設を見せていただけたらなー、なんて。 あ、嫌だったら全然断ってくれておっけーですよ。でも気が向いたらお願いしますね。 Your friend ×× (完) 初めての虐待SS。 というかこの長さの文を書いたのも初めてなので、 色々未熟な所が隠せませんね。 しかもネタとしては激しく既出なんだろうな。 2日酔いネタもやろうかと思ったのですが、 結局れいむが呻き苦しむだけで助長かとも思い、省きました。 皆様のお口に合えばいいのですが。 このSSに感想を付ける
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ひょんなことからにとりは外の世界の雑誌を手に入れた どうやら子供向けの科学の本のようだ 読み進めていくと「ペットボトルロケットを作ろう」という企画が乗っていた ロケットとはあの紅魔館に住む住人達がなにやら最近密かに作っている乗り物だ これはその模型の様であるが原理は一緒らしい 早速作ってみることにした 必要なものはペットボトルを数本と空気入れと噴射口、それに発射台 香霖堂に足を運んだところペットボトルはすぐ見つかったが本に載っている噴射口と発射台はおいていないようだ だがこのぐらいのものなら作れるだろう 小躍りしながら巣に材料を運ぶ途中 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 遊んでいた赤ゆっくりより少し大きいぐらいのゆっくりまりさ・れいむ達とでくわした どうやら箱の中身に興味があるようだ 「おねえさんそれなあに?ゆっくり出来るもの?」 「これはロケットの材料だよ」 「ろけっと?」 「ああ簡単に言うと空を飛べる乗り物だよ」 「ゆゆ!おそらをとべるの?おねえさんゆっくりのせてね!」 このロケットの推進力であれば子ゆっくり数匹程度なら問題なく乗せて飛べるかな? まあ元は人を乗せるものだし試してみようか 「よーし乗せてやるからついといで!」 「「「「ゆっくりー」」」」 さて地上のラボについてから早速作業にかかる 空気入れにあう噴射口を作るのに少し時間がかかったがこれは問題なく完成 さて、燃料(この場合水)タンクの上の空洞部分がゆっくり達の搭乗スペースになるのだがそこに少し隠し味 ゆっくりたちと一緒に丸い玉を一つ入れる 「ゆゆ?おねえさんこれなーに?」 「これかい?これは遠くからでもおねえさんとお話できる玉だよ」 「ほんと?」「すごーい」 小型の発信機と周囲の画像や声の送受信を行える機械を入れる これはこの間魔理沙のミニ八卦炉に搭載したもののプロトタイプ かなり小さく作ったのだが八卦炉に載せるには大き過ぎたため没となったものだ この機械を玉つめたものでこの子ゆっくり達より一回り大きいぐらい。なじみ易いようニコちゃんマークも描き加えてある さあテープでペットボトル同士を巻いて完成だ ゆっくり達もこれから空を飛べるのだと説明してやるとキャイキャイはしゃいでいる さてロケットを発射台に装着し発射準備は整った 「それじゃあこれから空気を送り込んで飛べるようにするからね」 「おねえさんゆっくりいそいでね」 ゆっくりたちは今か今かと待ちきれないようだ 「それでは空気注入開始!」 「ゆー!」 空気入れのスイッチを入れる。機械の起動音にゆっくり達のわくわくもマッハで有頂天だ 「ゆ?おねえざんなにがおがじいよ」 「あ?気付いた?」 そうこのロケットには私なりのアレンジが加えられていた 外の世界の本物のロケットが発射する際Gと呼ばれる非常に大きな力が搭乗者に加わると本に書いてあった その気分を少しでも味わってもらうためにゆっくり達ののっている部屋にも空気圧が加わるように改造したのだ 気圧を指し示すゲージが徐々に上がっていく 中のゆっくりたちも目が窪み口もすっぱい梅干を頬張りでもしたようなおちょぼ口になり全体的に少し小さくなったように感じる 「おねえざんばやぐどべでね」 「み゛み゛がきーんとずるよ」 「もうちょっとの辛抱だよーがんばってねー」 そろそろ限界かな 「よーし発射台角度調整よーし」 手元のリモコンを操作しロケットの舳先を空に向ける 「ゆ”っぐりできないがらおねえじゃんどこかいっでね」 「おちびちゃんはやくどいでね」 「このぼーるおみょいよ」 当然体を固定されてないゆっくりとニコちゃんボールはペットボトルの底に転がり落ちて不平の声が上がるがロケットがうまく飛ぶかどうかでいっぱいのにとりにはそんな言葉は届かない 「秒読み開始ー3・2・1発射!!」 「「「「ゆ゛べべべべべべーーーーーーーーーーーー」」」」 発射台のスイッチを押すと無理に押し込められていた水と空気の力が開放され 水柱を立てゆっくり達の悲鳴と水をばら撒きながら瞬く間に木々の向こう側にへと消えていった 「おー飛んだ飛んだ。烏天狗までは行かないがあの黒白ぐらいのスピードは出たかな?」 「さーて中の様子はっと」 内部の観察をするためにゴーグルのつまみをいじるとレンズに内部の画像が鮮明に映し出される 「お”ね”え”ち”ゃ”んゆ”っぐじじな”いでばやくどいてね」 「ゆ”ーうごけない」 「オロロロロロッロロロロ」 「おいじがえるー」 想像していた通りロケットの中は吐くわ叫ぶわのつぶれるわの阿鼻叫喚と化していた 発射の衝撃で不細工なゆっくり達の顔がさらに歪んだ所はそれはそれはひどいものだった ペットボトルの底に押し付けられていたゆっくりたちだったが次第に圧迫する力が弱くなったようで体の自由が戻ってきたようだ ロケットが水平飛行の状態に移ってきたのだろう 「ほらみんなー外を見てごらん」 「ゆーゆ!おそらをとんでるよ」 「ほんとだー きがれいむたちのしたにあるよ」 「ろけっとさんゆっくりとんでね」 「とりさんがまりさたちよりゆっくりしてるんだぜ!」 まあ思い思いの感想を述べ初めての空の世界をゆっくり堪能しているようだ まあそう長くは続かないんだけどね 「ゆ!くっつかないでね」 「なんだかおかしいよ」 「またかたむいてきてるよ」 「ゆゆ!おねえちゃんせまいよぼーるさんもあっちいってね」 「あーそろそろ着地体勢に入ったかな」 「ゆ?どういうこと?」 「もうそろそろ地面につくよ。乗務員の皆様はお席を立たず座席に備え付けられたシートベルトの着用をー」 「おねえさんなにいってるの?」 「わかるようにはなしてね」 「まあ掻い摘んで話すと体を壁にでもくくりつけてないと命の保障は出来ないよ」 「だからわからないよ」 「もう馬鹿だなー壁にくっついてないと死んじゃうよって話」 「「「ゆゆゆ!」」」 命の危険があるなんて聞いてないと文句を言おうと口を開くや否や強い衝撃が艦内を襲う 「ぶべらっば「げぁあぁぁl」「おおっぷす」ぶけぇぇぇ」 ゆっくり達の断末魔を確認した後再びつまみを動かしレーダーを起動させる 着地地点を確認しにとりはゆっくりとロケットの回収へと向かった ロケットの飛距離はにとりのアレンジのおかげもあって外の世界での記録を軽く更新している まあ大会規約なんか守っていないのだから記録には載せられないが1・2キロは飛んだであろう 木々の合間をうまい具合に縫って地面に突き刺さったロケットは、外見に大きな損傷は見られなかったが乗員達は案の定ぐちゃぐちゃである 「ロケットを作る際は壁か何かに体をくくりつけておかないと体の丈夫な妖怪なら大丈夫でも周りに大怪我の危険性ありっと」 頭の中に思いうかべたロケットの内部設計に若干の修正を加えながら熱心にメモをつける 「ゅ・・・・」 「おや、まだ生きているのがいるのか」 「ぼーるさんが・・・おねえちゃんたちを・・・」 顔の3割がつぶれてはいたが1匹だけ奇跡的に生きていた 着地の衝撃で相当ニコちゃんボールが跳ね回ったのだろう他のゆっくりたちはものの見事に餡子の染みとなっている 「やっぱりねー」 「ゅ・・・おねざさんがわかってて」 「まってね今ゆっくりさせてあげるから」 そういうや否やにとりはロケットをすばやくシェイクする 「ゆべ!やべ・・・ごぁ」 「さてこの間作ったおはぎ製造機の試運転用の材料確保したことだし撤収しますか」 ロケットを小脇に抱え鼻歌交じりににとりは家路に着いた この後河童たちのが独自にロケットの開発を進めていたが水面下で永遠亭の薬師達に阻止されたなんて事があったりなかったり このSSに感想を付ける